システム受託会社にAI活用を依頼すると効果は本当にあるのか?コスト・納期・品質を公的統計で検証する見極め方

「AI活用に強い受託会社に依頼すれば、開発スピードもコストも改善するはずだ」という期待を持って発注先を探す企業が増えています。しかし実際に依頼してみると、思ったほど効果を感じられなかった、あるいは効果があったのかどうか判断できないまま契約が終わってしまった、という声も少なくありません。この記事では、公的な調査データをもとに「AI活用を依頼して本当に効果が出るのか」を検証し、発注側が事前に何を確認すべきかを整理します。

目次

「効果」とは何か?AI活用を依頼して見るべき4つの軸

そもそも「AI活用の効果」という言葉は非常にあいまいです。発注側と受託会社の間で「効果」の定義がズレていると、期待と結果の食い違いが起きやすくなります。まず確認すべきなのは、①開発スピード(要件定義からリリースまでの期間短縮)、②コスト(人的リソースや工数の削減)、③品質(バグの少なさ、要件との一致度)、④コミュニケーション(要件のすり合わせやフィードバックの速さ)という4つの軸です。以降の章では、この4軸を念頭に置きながら、公的統計が示す「効果あり」の実態と、その裏にある課題を見ていきます。

Data

JUAS調査に見る「導入企業の7割が効果あり」の実態と測定の課題

一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が公表した「企業IT動向調査2025」速報値によると、言語系生成AIを導入済みの企業のうち約7割が「導入効果あり」と回答しています。この数字だけを見ると「AI活用を依頼すれば効果が出る」という印象を受けますが、同調査では導入効果の測定手法そのものに課題があることも指摘されています。つまり「効果あり」と答えた企業の多くが、明確な指標に基づいて効果を測定したわけではなく、感覚的な実感として回答している可能性があるということです。この点は発注側にとって重要な示唆になります。受託会社に「効果がありました」と報告されても、それが具体的な数値に基づくものか、単なる印象なのかを見極める必要があるのです。

Reality

総務省白書が示す懸念1位「効果的な活用方法がわからない」の意味

総務省の令和7年版情報通信白書では、生成AI導入に際しての懸念事項として、日本企業では「効果的な活用方法がわからない」が最も多く挙げられており、続いて「社内情報の漏えい等のセキュリティリスク」「ランニングコストがかかる」「初期コストがかかる」が並びます。この結果が示しているのは、AIツール自体は普及していても、それを事業成果につなげる「活用方法」の設計が最大のボトルネックになっているという事実です。つまり効果は、AIを使うこと自体からは自動的に生まれず、何をどう測るかという設計があってはじめて成立します。この点は、弊社のブログ記事「生成AIプロダクトが『作っただけ』で終わる理由|PoCから事業成果を出す開発・運用の勘所」でも詳しく取り上げていますので、あわせてご覧ください。

「AI活用の効果をどう測ればいいのか分からない」という段階でも相談可能です。現状の課題を伺いながらご提案します。

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Misconceptions

発注側が陥りやすい3つの誤解

誤解1:AI活用=自動的にコスト削減。実際には、AIツールの導入自体にコストがかかり、運用設計や教育のコストも発生します。短期的にはコストが増えるケースも珍しくありません。

誤解2:導入実績があれば効果も出る。実際には、他社での成功事例があっても、自社の業務やデータ環境に適合していなければ同じ効果は再現されません。事例の数より、自社の状況に対する分析力が重要です。

誤解3:効果測定は受託会社に任せておけば良い。実際には、効果の定義や測定指標(KPI)を発注側が最初に持っていなければ、受託会社側も何を測るべきか判断できません。効果測定は受発注双方の共同作業です。

Checklist

受託会社選定時に確認すべき3つのチェックポイント

  1. AI活用の具体事例の有無:抽象的な「AI導入実績」ではなく、どの業務にどのAIをどう組み込み、何が変わったかを具体的に説明できるかを確認します。弊社の場合、製造業向けにAI受発注システム「newji」を自社開発しており、調達・購買業務の属人化解消という具体的な課題に対してAIをどう使うかを設計した実例があります。
  2. 効果測定方法の明示:「効果がありました」という報告の根拠が、具体的な数値(工数削減時間、リードタイム短縮など)に基づいているかを確認します。
  3. KPI設定の有無:契約開始前に、どの指標をどのタイミングで測定するかが合意されているかを確認します。KPIが後付けの会社は、効果検証への意識が低い可能性があります。

Comparison

効果検証・KPI設計への取り組み方で比較する受託会社タイプ

受託会社タイプ効果検証・KPI設計への取り組み
AI活用に力を入れていない従来型受託会社要件通りの実装が中心で、効果測定の議論自体が発生しにくい。
AI活用を謳うが効果測定・KPI設計が属人的な会社担当者の経験に依存し、契約や体制として仕組み化されていないため、担当者が変わると効果検証の質が変動しやすい。
フリーランス・個人開発者スピードやコストは魅力だが、KPI設計や効果測定の体制を組織的に持たないケースが多く、継続的な検証は発注側の主導が必要になる。
オプティソースのAIプロダクト開発支援着手前にKPIを合意し、開発中も測定可能な指標を設計に組み込む。一方で、体制の規模が大きくないため、大量の同時並行案件には向かない場合がある。

FAQ

よくある質問

AI活用の効果が出るまでどのくらいの期間がかかりますか?

業務範囲や既存システムの状況によりますが、MVP規模であれば数週間〜数ヶ月で初期的な効果指標を確認できるケースが多いです。ただし、効果を正しく判断するには最低でも1〜2サイクルの運用データが必要になります。

効果測定は発注側と受託会社のどちらが主体になるべきですか?

基本的には発注側が「何を効果とみなすか」を主体的に定義し、受託会社がその測定を技術的に実装・支援する形が望ましいです。どちらか一方に任せきりにすると、指標の妥当性や解釈のズレが生じやすくなります。

小規模な案件でも効果測定は必要ですか?

必要です。小規模だからこそ、次の投資判断(拡張するか、中止するか)を正しく行うために、最初から簡易的なKPIを設定しておくことが重要です。

社内にエンジニアがいなくても効果検証を前提とした開発を依頼できますか?

可能です。弊社のコーポレートサイト自体も、Claude CodeのようなAIコーディングツールを活用し、デザイン調整から記事投稿の仕組みまで構築しています。専門知識がない状態からでも、KPI設計を含めた進め方をご提案できます。

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JUAS調査が示す「7割が効果あり」という数字は心強く見えますが、その裏には測定手法自体の課題があること、そして総務省白書が示すように「効果的な活用方法がわからない」ことが日本企業最大の懸念であることを踏まえると、効果は依頼するだけで自動的に出るものではないとわかります。効果を判断する軸は、事前のKPI設計と、開発中・運用後の測定体制にあります。受託会社を選ぶ際は、具体事例・測定方法・KPI設定の3点を必ず確認してください。

監修・運営:オプティソース株式会社

Claude Codeを活用したAI・DXコンサルティングを行う専門会社。製造業向け調達プラットフォーム「NEWJI」の運営や、自社メディアのAI自動化実績をもとに、中小企業のAI活用を支援しています。

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