「新規事業を立ち上げたいが、使える補助金が多すぎてどれが自社に合うのかわからない」という相談をよくいただきます。新事業進出補助金、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金など、名称が似ていたり目的が重なっていたりするため、比較せずに一つを選んでしまうと的外れな申請になりかねません。この記事では、新規事業立ち上げで使える補助金の種類を目的別に整理し、選び方と申請の基本ステップを解説します。
新規事業立ち上げで使える補助金にはどんな種類があるか
新規事業に関連する補助金は、大きく「新市場・新製品開発型」「設備投資型」「販路開拓型」の3つの目的に分けて考えると理解しやすくなります。代表例が中小企業等の新事業進出を支援する新事業進出補助金です。中小企業庁(mirasapo-plus)によると、新事業進出補助金は中小企業等がこれまでの事業と異なる新しい事業に挑戦することを支援する制度で、補助上限額は従業員数によって最大2,500万円〜7,000万円と幅があります。一方、販路開拓に特化した小規模事業者持続化補助金もあり、こちらの申請前に固めるべき経営計画・数値目標の作り方は別記事で詳しく解説しています。まずは自社が何を目的としているかを明確にすることが、種類選びの出発点です。
Why Now
補助金制度は変わりやすい|事業再構築補助金から新事業進出補助金への移行と2026年度の統合動向
補助金は制度改廃のスピードが速い分野です。補助金ポータルによると、これまで新規事業関連の代表的な補助金だった事業再構築補助金は2025年3月で新規募集を終了し、その後継的な位置づけとして中小企業新事業進出補助金が実施されています。さらに2026年度からは、この新事業進出補助金がものづくり補助金と統合された新制度へ移行する予定です。数年前に調べた情報のまま申請を進めると、対象外の制度に労力をかけてしまうリスクがあるため、申請直前に最新の公募要領を確認する姿勢が欠かせません。
「自社の新規事業にどの補助金が合うか分からない」という段階でもご相談いただけます。目的や事業内容を伺いながら整理します。
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新規事業の補助金でよくある3つの誤解
誤解1:どの補助金も内容は同じである。実際には、新市場・新製品開発を後押しする新事業進出補助金、設備投資を対象とするものづくり補助金、販路開拓を支える小規模事業者持続化補助金では、対象となる取り組みも審査で重視される観点も異なります。名称の似た制度でも目的が違えば申請書の書き方も変わります。
誤解2:従業員規模に関わらず補助上限額は同じである。実際には従業員数に応じて上限額が段階的に設定されている制度が多く、規模によって申請できる金額の水準そのものが変わります。
誤解3:小規模事業者持続化補助金だけで新規事業全体をカバーできる。実際には持続化補助金は主に販路開拓に関する経費を対象とした制度であり、新製品開発や設備投資まで含めた新規事業全体を単独でカバーする設計にはなっていません。目的に応じて複数の制度を組み合わせて検討する必要があります。
Process
補助金申請の基本ステップ|情報収集から採択後の実行まで
- 目的の明確化:新規事業で何を実現したいのか(新市場開拓、新製品開発、設備投資、販路開拓など)を先に定めます。
- 該当制度の選定:目的に合う補助金を絞り込み、最新の公募要領で対象経費・上限額・スケジュールを確認します。
- 事業計画・数値目標の策定:売上目標や付加価値額の向上計画など、審査で問われる数値の根拠を具体化します。
- 申請書作成:事業計画を審査項目に沿って言語化し、必要な添付資料をそろえます。
- 審査・採択:審査結果を待ち、不採択の場合は次回公募や別制度への切り替えも検討します。
- 実行・実績報告:採択後は計画どおりに事業を実行し、期限内に実績報告と経費の証拠資料を提出します。
Comparison
目的別に見る補助金の種類比較|新市場・新製品開発/設備投資/販路開拓
中小企業基盤整備機構によると、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では従業員数1〜20人は基本上限2,500万円(賃上げ特例時3,000万円)、21〜50人は4,000万円/5,000万円、51〜100人は5,500万円/7,000万円、101人以上は7,000万円/9,000万円と、規模別に上限額が細かく設定されています。当社自身も、製造業向けAI見積・受発注システム「Newji one」や仕事管理SaaS「Chattus」といったAI・DX活用型の新規事業を自社開発してきた経験があり、そこで得た知見をもとに、補助金活用と合わせた事業計画づくりを支援しています。
| 対象となる取り組み・補助上限額 | 特徴 |
|---|---|
| 新事業進出補助金 | 既存事業と異なる新規事業への進出が対象。従業員規模別に上限2,500万〜7,000万円。 |
| ものづくり補助金(2026年度統合後) | 設備投資・試作開発が中心。2026年度から新事業進出補助金と統合された新制度へ移行予定で、要件の再確認が必要。 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 販路開拓に関する経費が中心。上限額は比較的小さいが申請の難易度は抑えられる傾向。 |
| 自社のAI・DX導入支援 | 補助金申請そのものは代行しないが、事業計画に必要なAI・DX活用の実装設計や導入後の運用まで伴走できる点が強み。制度選定や書類作成の専門性は税理士・中小企業診断士等と連携が必要。 |
FAQ
新規事業の補助金に関するよくある質問
複数の補助金は併用できますか?
同一の経費に対して複数の補助金を重複して受けることは基本的にできませんが、対象経費を分けて設計すれば、たとえば設備投資はものづくり補助金、販路開拓は持続化補助金といった形で組み合わせられる場合があります。制度ごとの併用可否は公募要領で必ず確認が必要です。
個人事業主でも申請できますか?
多くの補助金は法人だけでなく個人事業主も対象です。ただし従業員数や事業実態に関する要件が制度ごとに異なるため、募集要領で対象者の条件を確認してください。
採択率はどの程度ですか?
採択率は制度・公募回によって変動し、一律には言えません。事業計画の具体性や数値目標の妥当性が審査で重視される傾向があるため、計画づくりの精度が採択可能性に影響します。
今後の制度変更にはどう備えればよいですか?
2026年度にものづくり補助金と新事業進出補助金が統合される予定があるように、補助金制度は変更が頻繁です。申請直前に必ず最新の公募要領を確認し、制度変更のタイミングでは専門家に早めに相談することをおすすめします。
AI・DXを活用した新規事業の場合、御社に相談できますか?
可能です。補助金の申請代行は行っていませんが、事業計画に含めるAI・DX活用の内容設計や、採択後の実装・運用まで伴走した支援を行っています。制度選定や申請書作成は専門家と連携しながら進める形をご提案します。
新規事業立ち上げで使える補助金は、新市場・新製品開発、設備投資、販路開拓といった目的によって種類が分かれており、事業再構築補助金の新事業進出補助金への移行や2026年度のものづくり補助金との統合のように制度自体も変わり続けています。まずは自社の目的を明確にし、最新の公募要領を確認したうえで、事業計画の段階から専門家に相談することが、遠回りしない申請の近道です。

