製造業のDXは重要性が叫ばれながらも、なかなか進まない現場が多いのが実情です。この記事では、DXが進みにくい理由と、調達・購買業務から着手する改善ステップを紹介します。
製造業のDXが進まない理由
現場の業務がExcelやメール、電話など既存の方法で回ってしまっていることが、DXが進みにくい大きな要因です。加えて、何から着手すべきか分からない、投資対効果が見えにくく優先順位が上がらないといった事情も重なります。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)の「中小企業のDX推進に関する調査」(2025年)でも、DXに取り組んでいない企業の障壁として「効果やメリットが不明確」(23.9%)が最多で、「予算不足」(23.6%)、「推進人材の不足」(18.1%)が続くと報告されています。技術というより、何がどう変わるかが見えないことが着手の壁になっていることがうかがえます。
Why Procurement
調達・購買業務から始める理由
調達・購買業務は、見積依頼、比較検討、発注、履歴管理といった一連の流れが定型化しやすく、DXの効果を実感しやすい領域です。属人化していた業務を可視化することで、比較的早い段階で成果を確認できます。
Misconceptions
よくある誤解
- DXは大規模なシステム刷新から始めるべき ― 誤りです。特定の業務領域から小さく始めて、効果を確認しながら広げる方が現実的です。
- DXは大企業だけの取り組み ― 誤りです。中小の製造業でも、調達・購買のような定型業務から着手できます。
- システムを導入すればDXは完了する ― 誤りです。業務プロセスの見直しと定着が伴わなければ効果は出ません。
当社が自社開発・運営するAI受発注システム「newji」も、まさにこの調達・購買業務の属人化解消を目的に開発したものです。特定の業務領域に絞って可視化・標準化を進めるという考え方は、AI業務自動化全般に共通するアプローチでもあります。
「自社の調達・購買業務のどこから手を付ければよいか分からない」という段階でも相談可能です。現状のフローを伺いながら、着手しやすい範囲をご提案します。
Process
改善の3ステップ
- 現状の調達・購買フローを可視化する:見積依頼から発注、履歴管理までの流れを書き出し、どこに時間がかかっているかを確認します。
- 属人化している工程を洗い出す:特定の担当者しか分からない工程や判断基準がないかを確認します。
- 標準化・システム化できる範囲から着手する:すべてを一度に変えるのではなく、標準化しやすい工程から着手します。
Roadmap
課題と改善の方向性
| 課題 | 改善の方向性 |
|---|---|
| 見積依頼がメール・電話中心 | 一元管理できるシステムでの依頼・比較 |
| 発注履歴がExcel管理 | 発注・受注履歴のシステム化 |
| サプライヤー比較が属人的 | 比較基準の標準化・可視化 |
Metrics
効果をどう測るか
「効果やメリットが不明確」という壁を越えるには、着手前に測る項目を決めておくのが確実です。調達・購買であれば、見積依頼から回答が揃うまでの日数、1件あたりの発注にかかる作業時間、過去の発注条件を調べるのに要する時間、担当者が不在のときに止まる件数。いずれも大がかりな計測は要らず、2週間ほど記録を取れば現状の数字が出ます。
この数字を先に取っておくと、システム化した後に「速くなった気がする」ではなく、何がどれだけ変わったかを社内に示せます。投資対効果が見えないまま優先順位が上がらない状態を抜けるには、効果を証明する仕組みより先に、現状を測る2週間を確保するほうが早道です。
FAQ
よくある質問
製造業のDXはどこから着手すればよいですか?
見積依頼や発注など、定型化しやすい調達・購買業務から着手するのが取り組みやすい傾向にあります。なかでも見積依頼と発注履歴の管理は、担当者ごとのやり方の違いが出やすく、標準化の効果が数字で見えやすい工程です。
現場の反発が心配です。どう進めればよいですか?
一気に全てを変えるのではなく、現場の負担が減る部分から小さく導入し、効果を実感してもらうことが有効です。有効なのは、現場から見て手間が増える変更を最初に入れないことです。入力項目を増やす施策より、探す手間・聞く手間が減る施策を先に置くと、協力が得られやすくなります。
導入にはどれくらいの期間がかかりますか?
対象業務の範囲によりますが、まずは現状フローの可視化から始めるのが一般的です。
専任のDX担当者がいなくても進められますか?
可能です。外部の支援を受けながら、現状整理から一緒に進める方法もあります。ただし、社内で意思決定できる人を1人決めておくことは必要です。外部が代われるのは手を動かす部分で、どの業務を優先するかの判断は社内に残ります。
導入費用はどれくらいかかりますか?
対象業務の範囲やシステム化の方法(既存ツール活用か独自開発か)によって大きく変わります。まずは現状フローを可視化した上で、投資対効果を見ながら段階的に予算を検討するのが現実的です。
製造業のDXは、大規模なシステム刷新から始める必要はありません。調達・購買業務のような定型化しやすい領域から可視化を進め、標準化・システム化できる範囲を少しずつ広げていくことが現実的な進め方です。製造業の調達・購買業務でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

