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生成AI 利用ガイドラインの作り方|社内ルールの9項目と厳しめ・ゆるめの決め方

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「生成AIの社内ルールを作るように言われたが、何を書けばいいのか分からない」「ほかの会社のサンプルを見たが、自社にそのまま当てはめてよいのか迷う」という声をよく聞きます。ひな形を写せば形は整いますが、自社の情報の扱い方に合っていないルールは、現場で守られにくくなります。この記事では、生成AIの利用ガイドラインに入れる9つの項目と、それぞれの中身の決め方を整理します。項目ごとに「厳しめ」と「ゆるめ」のどちらにするかの考え方と、社員に配る早見表の作り方も紹介します。

📄 生成AI 利用ガイドライン テンプレート(Word・無料)— 社内で生成AIを使うときの決まりのひな形。入力してはいけない情報・私的な利用・早見表つき

この記事の結論

  • 国のAI事業者ガイドラインは「何に気をつけるか」の確認に使い、「自社ではどこまで認めるか」は自社で決めます。
  • 入れる項目は、目的・範囲・使ってよいサービス・入力禁止の情報・出力の扱い・著作権・私的利用・事故時の報告・教育と見直しの9つです。項目をそろえるより、各項目で何を決めたかをはっきりさせます。
  • 入力禁止の情報は「機密情報」とまとめず、図面・見積・顧客名など具体的な例で書きます。個人情報は「入れない」を基本にします。
  • 厳しめかゆるめかは、預かっている情報の重さ、会社として管理できる契約があるか、禁止したときに裏で使われないか、の3つで決めます。はじめは厳しめに作り、困る所が分かってからゆるめます。
  • 社員には、「情報の区分」と「サービスの種類」で作った1枚の早見表で伝えます。
目次

国のAI事業者ガイドラインが示すことと、自社で決めること

ガイドラインを作る前に、国の指針がどこまでを決めてくれるのかを確かめておきます。総務省と経済産業省は2026年3月31日に「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」を公表しました[1]。AIに関わる事業者を「AI開発者」「AI提供者」「AI利用者」の3つに分けて、それぞれが取り組むことを示した文書です。ChatGPTなどを業務で使うだけの会社は、このうち「AI利用者」(事業活動でAIのシステムやサービスを使う事業者)に当たります[2]。

AI利用者向けの項目には、たとえば次のようなものがあります[2]。

  • 個人情報や機密情報を不適切に入力しないよう注意する
  • AIの出力の精度とリスクの程度を理解したうえで使う

第1.2版にあたる令和7年度の更新では、AI利用者向けに、大きな影響が出るおそれがある場合は人の判断をはさむこと、渡すデータを必要な分に絞ること(データの最小化)などが書き足されました[3]。

ただし、このガイドラインは事業者の自主的な取り組みを後押しするための文書です[2]。「顧客名を入れてよいか」「無料版を使ってよいか」といった自社の線引きまでは書かれていません。国の指針は「何に気をつけるか」の確認に使い、「自社ではどこまで認めるか」は自社で決める、という分担で考えると作業が進めやすくなります。総務省の掲載ページには、取り組みを点検するためのチェックリストとワークシート(別添7)も置かれているので、あわせて見ておくと抜けを見つけやすくなります[1]。

なお、ガイドラインを作る前の段取り(どの部署から始めるか、社内にどう広めるか)と、まず押さえる5つの項目・条文の例は社内AI導入を成功させる進め方の記事で紹介しています。この記事では、項目を9つに分けて、それぞれを厳しめにするか、ゆるめにするかの決め方と、社員に配る早見表の作り方に絞ります。

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Items

利用ガイドラインに入れる9つの項目と、それぞれで決めること

社内の生成AIガイドラインに入れる項目は、次の9つにまとめられます。日本ディープラーニング協会(JDLA)も、使ってよい生成AI・入力するデータの注意・生成物を使うときの注意などを定めた「生成AIの利用ガイドライン」のひな形を公開しています[4]。大事なのは項目をそろえることより、各項目で「何を決めたか」がはっきりしていることです。

項目決めること書くときのポイント
1. 目的何のためのルールか「禁止するため」ではなく、使いながら情報と権利を守るためと書く
2. 範囲だれに、どの場面で当てはめるかパート・派遣社員・業務委託先、個人のスマートフォンで仕事をする場合も含めるか
3. 使ってよいサービス業務で使えるサービスと契約の種類サービス名だけでなく「法人向けの契約」など契約の種類まで書く
4. 入力禁止の情報入れてはいけない情報の種類「機密情報」とまとめず、図面・見積・顧客名など具体的な例を並べる
5. 出力の扱い出力を使う前にだれが何を確かめるか社内で使う場合と、社外に出す場合で分ける
6. 著作権他人の作品との関係でしてはいけないこと特定の作品に似せる指示の禁止と、似ていないかの確認
7. 私的利用会社のアカウントを業務以外に使ってよいか認めるなら範囲と条件、記録が残ることを書く
8. 事故時の報告まずい入力や誤りに気づいたときの連絡先報告したこと自体で不利な扱いをしないと書く
9. 教育と見直しいつ説明し、いつ改めるか入社時と年1回など、時期を決めて書く

目的と範囲:委託先と個人のスマートフォンを忘れない

目的は1〜2文で足ります。迷いやすいのは範囲です。正社員だけを対象にすると、パートや派遣社員、外部の委託先が会社の情報を生成AIに入れる場面が抜けてしまいます。委託先には社内のルールが直接は届かないため、契約書や覚書で同じ扱いを求めることを検討します。また、個人のスマートフォンから業務の文章を生成AIに入れる人もいるので、「業務で使うなら、端末を問わずこのルールに従う」と書いておくと迷いが減ります。

使ってよいサービス:サービス名と契約の種類をセットで書く

同じサービスでも、無料版・個人向け・法人向けで、入力した内容が学習に使われるか、会社として管理できるかが変わります。ガイドラインの本文には「別表に載せたサービスだけを使う」とだけ書き、サービス名・契約の種類・主な用途・承認した人と日付を別表にまとめると、サービスが増えても本文を直さずに済みます。設定の具体的な確かめ方は、サービスごとの公式の説明と利用規約で確認してください。

入力禁止の情報:個人情報は法律の面からも確かめる

入力禁止の項目は、ガイドラインの中でいちばん読まれる部分です。「機密情報を入れない」だけでは、社員は自分の持っている情報が機密に当たるのか判断できません。お客様の個人情報、取引先から預かった図面や見積、公表前の売上や人事、パスワードなど、具体的な例で書きます。

個人情報については、個人情報保護委員会が2023年6月2日に注意を呼びかけています。個人情報を含む指示を生成AIに入力する場合は、利用目的を達成するために必要な範囲かを十分に確かめること、本人の同意なく個人データを入力し、それが応答の出力以外の目的で扱われる場合は、個人情報保護法の規定に違反する可能性があることが示されています[5]。そのため、入力する場合はサービスの提供者がそのデータを機械学習に使わないことなどを十分に確かめるよう求めています[5]。社内のルールでは、まず「個人情報は入れない」を基本にして、例外を認めるならその条件を書く形が分かりやすくなります。

条文の例:「次の情報は、生成AIに入力してはならない。①お客様の氏名・連絡先などの個人情報 ②取引先から預かった図面・見積・仕様書 ③公表前の売上・人事の情報 ④パスワードなどの認証情報。判断に迷う場合は入力せず、◯◯部に相談する。」

情報漏れを防ぐための技術的な対策(設定や監視のしかた)は、生成AIの情報漏洩対策の記事で詳しく扱っています。

出力の扱い:社内用と社外用で確認の重さを変える

生成AIの出力には誤りが混ざることがあります。社内のメモや下書きなら、使う本人が確かめれば足ります。社外に出す文書・資料・プログラムに使う場合は、作った人が中身に責任を持つことと、上司などもう1人が確かめることを書いておきます。数字・法令・人名・日付は、元の資料にあたって確かめる対象としてはっきり書くと、確認の抜けが減ります。お客様に納める成果物に使う場合は、契約で生成AIの利用が制限されていないかも確かめる項目に入れておきます。

著作権:似ていないかを確かめ、指示の記録を残す

文化庁の資料では、AIで作ったものかどうかにかかわらず、既存の作品の著作権を侵害するかは、その作品との「類似性」(表現の本質的な特徴が共通しているか)と「依拠性」(既存の作品をもとにしたか)があるかで判断されると説明されています[6]。また、生成AIへの指示として既存の作品そのものや作品名・キャラクター名などを入力した場合は、依拠性が認められやすくなると考えられること、生成に使った指示などを後から確かめられる状態にしておくことが望ましいことも示されています[6]。

ガイドラインには、他人の文章や画像を許可なく入力して作り替えさせないこと、特定の作品に似せる指示をしないこと、社外に出す前に既存の作品と似ていないかを確かめることを書いておきます。考え方の全体は、文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)にまとまっています[7]。商品名やロゴなど重要なものに使う場合は、専門家に相談する手順も入れておくと安心です。

私的利用・事故時の報告・教育と見直し

私的利用は、会社によって考え方が大きく分かれる項目です。認めるか、認めるならどこまでかを決めて書きます。考え方とリスクの整理は社内AIの私的利用についての記事で紹介しています。

事故時の報告では、「入力してはいけない情報を入れてしまった」「誤った出力が社外に出た」「アカウントが勝手に使われている」など、報告すべき場面を例で書き、連絡先を1つに決めます。報告した人が責められる職場では、報告が遅れて被害が広がりやすくなります。報告したこと自体を理由に不利な扱いをしない、と書いておくのはそのためです。

教育と見直しは、時期を決めて書きます。生成AIのサービスは機能や利用規約がよく変わり、国の指針も年度ごとに更新されています[3]。年に1回の見直しに加え、使うサービスが変わったときにも見直すと決めておくと、ルールが古くなりにくくなります。

Strict or Flexible

厳しめにするか、ゆるめにするかの決め方

同じ項目でも、会社によってちょうどよい厳しさは違います。お客様の個人情報や取引先の図面を多く扱う会社と、公開情報をもとに文章を書くことが多い会社では、守るべきものが違うからです。項目ごとに、次のような2つの書き方が考えられます。

項目厳しめの書き方ゆるめの書き方
使ってよいサービス会社が契約した版だけ。無料版・個人のアカウントは業務で使わない会社が契約した版が基本。公開してよい情報だけなら無料版も可
入力禁止の情報個人情報・社外秘・預かった秘密は、会社の契約版でも入れない学習に使われない設定の契約版に限り、自社の社外秘は名前や数字を伏せれば入れてよい。取引先から預かった情報は、相手との契約で許されている場合だけ
出力の扱い社外に出す文書でAIを使ったら、決めた方法で記録する聞かれたときに答えられるようにしておけばよい
私的利用会社のアカウントを業務以外に使わない休憩時間の調べもの程度は認める。入力禁止の情報は入れない

どちらにするか迷ったら、次の3つを順に考えると決めやすくなります。

  1. 預かっている情報の重さ:取引先と秘密を守る契約を結んでいる情報や、お客様の個人情報が多いなら、入力禁止は厳しめから始めます。
  2. 会社として管理できる契約があるか:社員のアカウントを会社で追加・削除でき、入力内容が学習に使われない設定を確かめられる契約があれば、ゆるめにできる余地が出てきます。
  3. 禁止したときに裏で使われないか:厳しすぎるルールは、会社の知らない所で個人のアカウントを使う人を生みやすくなります。厳しくする項目と引き換えに、使ってよいサービスと用途ははっきり示しておきます。

はじめは厳しめに作り、使ってみて困る所が分かってからゆるめるほうが、後から締め直すより社内の反発が少なく済みます。ゆるめたときは、何をいつ変えたかを記録しておくと、見直しのときに理由をたどれます。

Quick Reference

社員向けの早見表は「情報の区分」と「サービスの種類」で作る

ガイドラインの本文を全員が読み込むことは期待できません。そこで、入力する前に「この情報は入れてよいか」を数秒で確かめられる1枚の早見表を作り、本文の別表として付けます。作り方は次の3段階です。

  1. 情報を区分に分ける:たとえば「公開してよい」「社内向け」「社外秘」「取引先から預かった秘密」「個人情報」「パスワードなどの認証情報」の6つに分けます。区分ごとに、自社で実際に扱う書類の例を2〜3個書きます。
  2. サービスの種類で列を分ける:「会社が契約したサービス」と「無料版・個人のアカウント」の2列にし、区分ごとに「入力してよい」「入力しない」を書きます。
  3. 迷ったときの行き先を書く:表の上に「迷ったら入力せず、◯◯部に相談する」と1行入れます。

早見表に書く例は、社員がふだん使う言葉にします。「機密情報」より「見積書」「図面」「お客様の名簿」のほうが、手元の書類と照らし合わせやすいからです。AI事業者ガイドラインで新たに強調された「データの最小化」[3]の考え方も、早見表の下に「入れる情報は、作業に必要な部分だけにする」と1行添えると伝わりやすくなります。早見表で「入力しない」とした情報を伏せたまま生成AIに仕事を頼む書き方や、事務・営業・企画で使える指示文の例は、生成AIのプロンプトを業務で使う記事で紹介しています。

当社では、ここまでの9項目に「用語」の条を加えて第1条〜第10条の規程の形にまとめ、会社によって分かれる所に厳しめ・ゆるめの例と、6つの区分の早見表を付けた生成AI 利用ガイドラインのひな形(Word)を無料で公開しています。自社の内容に書き換えて使えます。

FAQ

生成AIの利用ガイドラインについてよくある質問

生成AIの社内ガイドラインのサンプルは、そのまま使ってよいですか?

形を整える土台としては役に立ちますが、そのままでは自社に合わない部分が出ます。特に「使ってよいサービス」と「入力禁止の情報」は、自社が契約しているサービスと、実際に扱っている書類に合わせて書き換えてください。JDLAのひな形などの公開されたサンプルは、項目の抜けを確かめる目的で使うのがおすすめです。

国のAI事業者ガイドラインに従えば、社内ルールは作らなくてよいですか?

AI事業者ガイドラインは、事業者が自主的に取り組むための考え方を示した文書で、自社で何を入力してよいかといった線引きまでは書かれていません。国の指針で気をつける点を確かめ、自社の線引きは社内のルールとして決める必要があります。

ガイドラインを作れば、法律上の問題は起きませんか?

ガイドラインを作っただけで法律上の問題がなくなるわけではありません。個人情報や著作権の扱いは個別の場面で判断が分かれることがあります。重要な判断が必要な場面では、弁護士などの専門家に確認してください。

小さな会社でも、9つの項目を全部書く必要がありますか?

最初から全部をそろえなくても構いません。「使ってよいサービス」「入力禁止の情報」「事故時の報告」の3つを先に決め、使いながら残りを書き足していく進め方もあります。早見表は、人数が少ない会社でも作っておくと迷いが減ります。

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生成AIの利用ガイドラインは、目的・範囲・使ってよいサービス・入力禁止の情報・出力の扱い・著作権・私的利用・事故時の報告・教育と見直しの9項目で組み立てられます。国のAI事業者ガイドラインで気をつける点を確かめたうえで、項目ごとに厳しめかゆるめかを自社の情報の重さで決め、社員には1枚の早見表で伝えると、現場で守られるルールに近づきます。どこまで認めるかの線引きや、使うサービスの選び方から一緒に考えたい場合は、お気軽にご相談ください。

監修・運営:オプティソース株式会社

経営と起業の実務家チームが、AIを使って事業づくり、集客・営業の強化、業務改善を進める会社です。自社でも製造業向けの事業とサービスを運営し、そこで試したやり方をお客様の事業に使っています。

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