「毎年使っているIT導入補助金の名前が変わったらしいが、中身は同じなのか」「今年も同じ感覚で申請して大丈夫なのか」というご相談が増えています。令和7年度補正予算事業から、これまでの「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金」へと名称を変更しました。単なる呼び方の変更ではなく、申請枠や要件にも実務上無視できない変更点が含まれています。この記事では、法人である中小企業が2026年度にこの制度をどう申請実務に落とし込むかに絞って整理します。
デジタル化・AI導入補助金2026とは?IT導入補助金からの名称変更の背景
中小企業庁の公募情報によると、令和7年度補正予算事業からこれまでの「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」へ名称が変更されました(中小企業庁)。中小企業・小規模事業者等の労働生産性向上を目的に、AIを含むITツールの導入を支援する制度である点は従来と共通していますが、名称にAIが明記されたことは、今後の審査や優遇の方向性を示す変化だと捉えるべきでしょう。背景には、中小企業のデジタル化の遅れがあります。中小企業庁がまとめた中小企業白書では、デジタル化の取組段階について「段階2」と回答した事業者が約6割を占める一方、デジタル化がほとんど図られていない「段階1」の事業者も一定数存在することが示されています(中小企業庁(2026年版中小企業白書))。この記事では、個人事業主ではなく法人の中小企業が、2026年度にこの制度をどう申請実務として進めるかに焦点を当てて解説します。
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Scheme
IT導入補助金2026からの変更点|申請枠と補助額・補助率を整理
デジタル化・AI導入補助金2026には、通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型/電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数者連携デジタル化・AI導入枠といった申請枠が設けられています。通常枠は業務プロセスのIT化やAIツールの導入を幅広くカバーする枠、インボイス枠はインボイス対応ソフトや受発注システムの導入を後押しする枠、セキュリティ対策推進枠はサイバーセキュリティサービスの利用料を支援する枠、複数者連携デジタル化・AI導入枠は商店街や業界団体など複数事業者が連携してITツールを導入する場合の枠です。それぞれの補助額・補助率は毎年見直されるため、本記事では詳細な金額表記は避けます。公募要領やミラサポplusの該当ページは、申請を検討する直前に必ず最新版を確認してください。申請枠によって補助率・上限額・対象経費の範囲が大きく異なるため、自社の目的に合う枠を誤って選ぶと、交付決定後に経費が対象外と判明するリスクもあります。
Schedule
AI導入補助金2026の申請スケジュール|公募要領公開日から締切まで
ミラサポplusの情報によると、2026年度のデジタル化・AI導入補助金は、公募要領の公開日が2026年2月27日、交付申請の受付開始が2026年3月30日とされています(ミラサポplus)。締切は回ごとに設けられており、通常枠の6次締切は2026年10月30日です。その後の7次締切(2026年12月1日と案内されています)からは、1人当たり給与支給総額に関する申請要件が追加されるなど、要件が変わると告知されています。申請する回の公募要領は、必ず事務局の公式サイトで確認してください。実際の申請は締切回ごとに区切られ、各回で採択結果が公表された後に次回の申請が始まる形が一般的です。法人としては、公募要領の公開直後から逆算してgBizIDの取得やツール選定を進め、できるだけ早い締切回での申請を目指すのが得策です。締切が近づくほどIT導入支援事業者の対応が混み合い、必要書類のすり合わせに時間がかかるためです。複数の補助金制度を横断的に比較・検討したい場合は、【最新版】DX補助金一覧|制度改定を踏まえた比較表とミラサポplusの使い方も参考になります。なお、具体的な日付・回数は年度途中で更新される可能性があるため、公開直前に必ず一次情報で再確認してください。
「自社がどの枠に当てはまるか分からない」という段階でもご相談いただけます。現状のITツール活用状況を伺いながらご提案します。
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デジタル化・AI導入補助金2026でよくある3つの誤解
誤解1:旧制度と内容はほとんど同じ。実際には、名称変更にとどまらず審査要件も見直されています。中小機構の情報によると、補助金申請額が150万円以上の場合に求められる成長率目標の数値は、IT導入補助金2025の年平均成長率1.5%以上から、デジタル化・AI導入補助金2026では3.0%以上へと引き上げられています(中小機構)。昨年度の感覚のまま事業計画を作成すると、基準を満たせない可能性があります。
誤解2:過去に使ったときと同じ目標で申請できる。実際には、2022〜2025年にIT導入補助金の交付決定を受けた事業者は、年平均成長率の目標が3.5%以上と、初めての事業者より高く設定されています(中小機構)。複数回の活用を見込む法人は、初回申請の段階からこの点を見据えて計画を立てる必要があります。
誤解3:個人事業主も法人と同じ条件で申請できる。実際には、法人には履歴事項全部証明書や決算書など法人固有の提出書類があり、個人事業主向けの要件とは異なる部分があります。個人事業主としての申請を検討している場合は、本記事とは別の観点での整理が必要です。
Process
法人(中小企業)としての申請フローと準備物、過去に使った事業者の賃上げ要件
- gBizIDプライムの取得:申請の大前提となるアカウントです。発行には数日〜数週間かかることがあるため、公募要領の公開前に取得を済ませておくと安心です。
- SECURITY ACTIONの宣言:情報セキュリティ対策に取り組む宣言制度への登録が申請要件に含まれます。IPAのサイトから無料で宣言できます。
- IT導入支援事業者・ツールの選定:補助金の対象となるITツールは、登録済みのIT導入支援事業者が提供するものに限られます。自社の課題に合うツールとベンダーを早めに絞り込みます。
- 申請マイページ登録と交付申請:gBizIDでマイページに登録し、事業計画や必要書類(決算書、履歴事項全部証明書等)を添付して交付申請を行います。過去に交付決定を受けたことがある場合は成長率の目標が高くなるため、人件費や昇給のスケジュールもあわせて検討しておく必要があります。
Comparison
自力申請と外部支援、採択率を左右する申請サポートの違い比較
| 申請サポートの対応範囲 | 特徴 |
|---|---|
| 自力申請(公募要領を自社で読み込み対応) | 費用はかからないが、要件変更のキャッチアップや書類不備のリスクを自社で負う必要がある |
| IT導入支援事業者(ツールベンダー)のサポートのみ | ツール導入は進むが、自社の業務全体を見た最適な枠選びや賃上げ計画の相談には対応していないことが多い |
| 行政書士・中小企業診断士へのスポット依頼 | 書類作成の精度は高いが、ITツール自体の選定や導入後の定着支援までは範囲外のことが多い |
| オプティソースの伴走支援(申請書類作成+ITツール選定+導入後定着まで) | 申請書類の作成からツール選定、導入後の運用定着までを一貫して伴走する。一方で、他の選択肢より相談から着手までのすり合わせに一定の時間がかかる |
FAQ
デジタル化・AI導入補助金2026に関するよくある質問
IT導入補助金2026とAI導入補助金2026は別の制度ですか?
別制度ではありません。令和7年度補正予算事業から、従来の「IT導入補助金」が「デジタル化・AI導入補助金」へ名称変更されたもので、同一の制度の後継にあたります。
個人事業主も同じ内容で申請できますか?
制度自体は個人事業主も対象ですが、法人とは提出書類や一部の要件が異なります。本記事は法人の中小企業の申請実務を前提に整理しているため、個人事業主の場合は別途ご相談ください。
以前にIT導入補助金を使った場合、特に注意すべき点はありますか?
2022〜2025年に交付決定を受けた事業者は、年平均成長率の目標が3.5%以上になります(初めての事業者で補助金申請額が150万円以上の場合は3.0%以上)。7次締切からは要件の変更も告知されています。初回申請の段階から、継続的な賃上げの見通しを立てておくことをおすすめします。
公募要領はどこで確認すればよいですか?
中小企業庁の公募ページおよびミラサポplusの制度紹介ページで最新版が公開されます。補助額や締切は年度・回次ごとに更新されるため、申請直前に必ず一次情報を確認してください。
自社にITツールの知識がなくても申請サポートを依頼できますか?
可能です。現状の業務フローをヒアリングした上で適切なツールと申請枠をご提案し、申請書類の作成から導入後の定着までを伴走する形でサポートします。
デジタル化・AI導入補助金2026は、名称変更にとどまらず、成長率目標の引き上げや賃上げ要件の追加など、法人としての申請実務に直結する変更が含まれています。gBizIDの取得やツール選定は公募要領の公開前から着手でき、早めの準備が採択の可能性を左右します。自社だけで最新情報を追い続けるのが難しい場合は、申請書類の作成からツール選定、導入後の定着まで一貫してご相談ください。

