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収支計画書の書き方|月別・年別の記入例と、融資や補助金の申請で求められる様式

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「融資の相談に行ったら、収支計画書を出してくださいと言われた」「補助金の申請書に、3年後の数字を書く欄がある」。会社を立ち上げるときや、今の会社で新しい事業を始めるときに、多くの方がここで手が止まります。収支計画書は、これから入ってくるお金(売上)と出ていくお金(費用)を見積もり、どれだけ利益が残るかを並べた書類です。決まった1つの様式があるわけではなく、出す先によって形が変わります。この記事では、収支計画書の基本の項目と書き方の手順を説明したうえで、月別と年別の記入例を示します。あわせて、日本政策金融公庫(以下、公庫)の様式と、補助金の事業計画で求められる書き方も紹介します。

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この記事の結論

  • 収支計画書は、売上高から売上原価と経費を引いて利益を出し、それぞれの数字の算出根拠を1行ずつ添える書類です。決まった1つの様式はなく、出す先から指定されたらそれに合わせます。
  • 区切り方は出す先で変わります。公庫の創業融資は月平均(創業当初と軌道に乗った後)や12か月の月別、すでに営業している会社の融資は前期実績から続く年別、補助金は3〜5年の計画です。
  • 売上高は「単価×件数」「客単価×席数×回転数」のような計算の式で出すと、根拠を説明しやすくなります。
  • 元金の返済は経費に入れず別の行に書き、売上が計画を下回ったときにどのお金で赤字を埋めるかも書いておきます。
  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回)では、付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)が年平均4.0%以上伸びる計画が基本要件の1つです。
目次

収支計画書は、出す先によって形が変わる

収支計画書は、これからの事業の見通しを数字で示す書類です。似た名前の書類に、個人事業主が確定申告で使う「収支内訳書」があります。国税庁は、白色申告の人が確定申告書を出すときは、総収入金額や必要経費の内容を書いた書類(収支内訳書など)を添付する必要がある、と説明しています[1]。こちらは過ぎた1年の実績をまとめる税金の書類で、これからの計画を書く収支計画書とは別のものです。

収支計画書を求められる主な場面と、そのときの様式の違いを表にまとめます。

場面使う様式の例数字の区切り主に見られる所
創業融資の申し込み公庫の創業計画書の「事業の見通し(月平均)」創業当初と、1年後または軌道に乗った後の2つ売上・原価・経費の算出根拠[2]
創業融資で、月ごとの動きを示すとき公庫の月別収支計画書12か月赤字の月の乗り切り方、借入金の返済額[3]
認定支援機関(国が認めた経営の相談先)と組んで融資を申し込むとき(すでに営業している会社の例)公庫の事業計画書(中小企業経営力強化関連用)前期実績・今期見込と、計画の1〜3期目・最終目標利益の推移と、借入金の残高の減り方[5]
補助金の申請公募要領で決められた事業計画3〜5年付加価値額や給与の伸び率と、その算出根拠[6]

どの様式でも、中身の骨組みはほぼ同じです。見積もった売上から原価と経費を引いた残りが、利益になります。違うのは、数字を月で区切るか年で区切るかと、相手がどの数字を重く見るかです。出す先から様式を指定されたら、まずそれに合わせます。

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Items

収支計画書の基本の項目

公庫の創業計画書の記入例では、事業の見通しを次の項目で書く形になっています[2]。ほかの様式でも、この並びが土台になります。

  • 売上高(①):商品やサービスを売って入ってくる金額です。
  • 売上原価(②):売上を得るために直接かかった費用です。公庫の資料では、卸売業・小売業・サービス業なら売上に対応する商品などの仕入高、製造業なら材料費や工場の人件費、外注費など製品づくりに直接かかった経費を指す、と説明しています[4]。
  • 経費(③):人件費、家賃、支払利息、その他(光熱費や広告宣伝費など)に分けて書きます。
  • 利益:①から②と③を引いた金額です。

人件費には注意が要ります。公庫の資料では、個人営業の場合、人件費に事業主本人の分は含めず、家族などに払う分は含める、としています[4]。会社の場合は、社長の役員報酬も人件費に入ります。

公庫のソフトウェア開発業の記入例では、創業当初の売上高を「300万円/件×1件/月=300万円(受注契約書あり)」と書き、軌道に乗った後は「創業当初の1.3倍(勤務時の経験から)」として390万円と見込んでいます[2]。数字そのものより、なぜその数字になるのかを1行で書き添えていることが、この記入例から読み取れる大事な点です。創業計画書全体の書き方は創業計画書の書き方と記入例の記事で紹介しています。

How to Write

収支計画書の書き方の手順

項目を上から順に埋めるより、次の順番で考えると根拠を説明しやすくなります。

1. 売上高を、計算の式で出す

公庫は、業種に合った方法で売上高を計算し、ほかの方法でも確かめるよう勧めています。示されている計算の式は次の4つです[4]。

  • 設備が売上に直結する業種(部品製造、印刷、運送など):設備の生産能力×設備の数
  • 店で売る比重が大きい販売業:1㎡(または1坪)当たりの売上高×売場の広さ
  • 飲食店・理容・美容などのサービス業:客単価×席などの数×回転数
  • 人の手が中心の業種(自動車販売、ビル清掃など):従業者1人当たりの売上高×従業者の数

受託の仕事なら「1件の単価×月の件数」が考えやすい式です。単価や件数には、見積書、受注の約束、前の勤め先での経験など、説明できる材料を添えます。

2. 売上原価を、原価率から出す

公庫の資料では、売上原価は一般に「売上高×原価率」で求め、業界の平均をもとに自分の売り方を加味して決める、としています[4]。

3. 経費を、毎月決まって出るものから埋める

家賃や人件費のように売上に関係なく出ていく費用を先に書き、その後に広告費や光熱費などを足します。人件費は人数と1人当たりの金額が分かるように書きます[2]。

4. 支払利息と返済額を書く

公庫の資料では、1か月の支払利息を「借入金残高×年利÷12か月」で計算するとしています[4]。利息は経費ですが、借入金の元金の返済は経費ではありません。月別収支計画書では、元金の返済額を経費とは別の行に書き、据置期間など元金を返さない月は0と書く形です[3]。

5. 計画を下回ったときの手当てを書く

売上が見込みどおりにいかない場合に、どのお金で赤字を埋めるかを決めておきます。公庫の月別収支計画書には、この内容を書く欄があります[3]。

Monthly

月別の収支計画書の記入例

公庫の月別収支計画書は、創業計画書の「事業の見通し(月平均)」を月ごとに書く場合に使う様式です[3]。12か月の列に、売上高、売上原価(仕入高)、経費(人件費・家賃・支払利息・その他)、利益、借入金返済額を並べます。表の下には、売上高・売上原価・経費の算出根拠、売上高を達成するための具体的な取組みと実行時期、計画した売上高を下回った場合の資金繰りや資金調達の方法を書く欄があります。公庫の飲食店の記入例では、売上高を昼と夜、曜日ごとに「客単価×席数×回転数×営業日数」で分けて計算し、「創業後、6か月で軌道に乗ると想定」と書いています[3]。

ここでは、架空の例で月別の数字を並べてみます。社長1人とパート1人で始める受託制作の会社で、1件10万円の仕事を1か月目に3件、6か月目以降は10件受ける見込みとします。外注費を売上原価とし、原価率は30%、借入金は500万円(年利2%と仮定)、元金は6か月の据置のあと月9万円ずつ返す想定です。

項目(単位:万円)1か月目2か月目3か月目4か月目5か月目6か月目7〜12か月目(各月)12か月の合計
売上高 ①30507080901001001,020
売上原価 ②(外注費)9152124273030306
人件費(社長20・パート12)32323232323232384
家賃888888896
支払利息111111112
その他(通信・広告など)10101010101010120
経費の合計 ③51515151515151612
利益(①−②−③)−30−16−25121919102
借入金返済額(元金)000000954

支払利息は、500万円×2%÷12か月でおよそ0.8万円となるため、1万円としています。実際には返済が進むと利息は少しずつ減ります。

この表から分かることは3つあります。1つ目は、最初の3か月で赤字が合わせて48万円出ることです。この分を自己資金や運転資金でまかなえるかを、表の下の欄に書いておく必要があります。2つ目は、返済が始まる7か月目以降も、利益19万円から元金9万円を返して10万円が残ることです。返済の力を示す材料になります。3つ目は、12か月の合計の利益102万円には、序盤の赤字の月が埋もれているということです。年の合計だけを見ると、お金が足りなくなる月が分かりません。

なお、利益と手元のお金の動きは一致しません。売上が立っても入金が翌月や翌々月になる場合は、月ごとの入金と支払いを並べた資金繰り表を別に作って確かめます。前月繰越から入金・出金を足し引きして翌月繰越を出す資金繰り表の書き方は、資金繰り表のテンプレートと書き方の記事で説明しています。

Yearly

年別の収支計画書と、補助金の申請で求められる形

融資の事業計画書は、実績から並べる

認定経営革新等支援機関(国が認めた経営の相談先)の支援を受けて公庫に申し込むときに使う事業計画書(中小企業経営力強化関連用)の記入例では、「業績推移と今後の計画」の表に、前期実績、今期見込、計画1期目から3期目、最終目標の列が並びます[5]。行は、売上高、売上原価、売上高総利益、販売管理費(うち人件費、うち役員報酬、うち減価償却費)、営業利益、営業外収益、営業外費用、経常利益、特別損益、法人税等、当期利益です。ほかに総資産・総負債・自己資本と、借入金の期末残高の推移を書く表もあります。項目の一部は支援機関が書く形です。

実績の列から書き始めるので、計画の数字が実績からどれだけ離れているかが一目で分かります。前期より大きく伸ばす年があるなら、その年に何をするのかを、表の上の「具体策」の欄と結びつけて書きます。

補助金の事業計画は、付加価値額の伸び率を書く

補助金では、売上や利益より「付加価値額」の伸び率を求められることがあります。中小企業基盤整備機構の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の公募要領(第1回、1.2版・令和8年8月)では、補助事業終了後3〜5年の事業計画期間に、付加価値額が年平均4.0%以上伸びる見込みの事業計画を作ることが基本要件の1つになっています[6]。付加価値額は「営業利益、人件費、減価償却費を足したもの」と定義され、年平均成長率は、毎年の伸びが前の年の数字に上乗せされていく前提(複利)で計算するよう書かれています。一人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上にすることも基本要件で、こちらは目標に届かないと補助金の返還を求められます[6]。

同じ公募要領では、付加価値額などの目標値の算出根拠を具体的に示すこと、計画の数値は補助事業が終わったあとも毎年度の報告で達成状況を確かめることが書かれています[6]。中小企業庁のミラサポplusも、事業計画は必ず申請者自身で作るよう呼びかけています[7]。第1回の申請は2026年10月30日に締め切られています[6]。次の回の要件は、その回の公募要領で確かめてください。補助金の種類と選び方は新規事業で使える補助金の種類の記事にまとめています。

架空の会社で、付加価値額の行を加えた年別の例を示します。基準年度は、公募要領に合わせて補助事業が終わる時点を含む事業年度とします[6]。

項目(単位:万円)基準年度1年目2年目3年目
売上高10,00010,30010,70011,200
売上原価6,0006,1806,4006,700
売上総利益4,0004,1204,3004,500
販売管理費3,6003,7203,8303,950
 うち人件費2,0002,0602,1202,180
 うち減価償却費200300300300
営業利益400400470550
付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)2,6002,7602,8903,030

この例では、3年で付加価値額が2,600万円から3,030万円になり、年平均の伸び率(複利)は約5.2%です。1年目は設備を入れて減価償却費が増えるため、営業利益は横ばいでも付加価値額は増えます。なお、この表の人件費は会社全体の金額で、付加価値額の計算の仕方を示すためのものです。賃上げの要件(一人当たり給与支給総額の年平均3.5%以上)は一人当たりの金額で見るため、人数と1人当たりの給与を別に並べて、年3.5%以上になるかを確かめてください。人件費が売上原価の中にも入っている会社は、どこまでを人件費として数えるかを公募要領や事務局の案内で確かめてから数字を入れてください。

Checklist

出す前に見直したい5つの所

  1. 書類どうしの数字が合っているか:月別収支計画書は創業計画書の「事業の見通し」をもとに書く様式です[3]。月平均の数字と、月別の数字の並びが食い違っていないかを確かめます。
  2. 売上だけが伸びていないか:売上を増やすなら、仕入や外注費、人を増やす費用も一緒に増えるのが普通です。経費がずっと同じままの計画は、読み手に疑われやすくなります。
  3. 元金の返済を経費に入れていないか:経費に入れるのは利息だけです。元金は別の行で、利益から返せるかを見ます[3]。
  4. 算出根拠が1行ずつ書けているか:「単価×件数」「原価率は前職の経験から」のように、数字の出どころを書きます[2]。
  5. 下回ったときの手当てがあるか:売上が計画の7割だったら何か月目にお金が足りなくなるかを、一度計算しておきます。

表を一から作る手間を省きたい場合は、当社の事業計画書テンプレート(Excel・簡易5年/詳細 月次60か月)も使えます。融資を受けるときの公庫の制度の選び方は日本政策金融公庫の創業融資の記事をご覧ください。

FAQ

収支計画書についてよくある質問

収支計画書のテンプレートや記入例は、どこで手に入りますか?

公庫の「各種書式ダウンロード(国民生活事業)」のページに、創業計画書と業種別の記入例、月別収支計画書のExcelと記入例、事業計画書の様式と記入例が載っています[8]。売上高の計算方法を説明した参考資料もあります[4]。

収支計画書と事業計画書は何が違いますか?

事業計画書は、事業の中身や売り方、体制などを文章も含めて説明する書類で、収支計画書はその中の数字の部分にあたります。公庫の事業計画書の記入例でも、取組みの内容と並んで「業績推移と今後の計画」の数字の表が入っています[5]。

何年分作ればよいですか?

出す先によって違います。公庫の創業計画書は創業当初と軌道に乗った後の2つ[2]、月別収支計画書は12か月[3]、ここで紹介した補助金は3〜5年の計画です[6]。社内で使う計画なら、借入の返済が終わる時期まで見えている長さにしておくと、判断に使いやすくなります。

個人事業主の場合、自分の生活費はどこに書きますか?

公庫の資料では、個人営業の場合、人件費に事業主本人の分を含めないとしています[4]。そのため、利益の中から自分の生活費をまかなえるかを、別に確かめておく必要があります。

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収支計画書は、売上高から売上原価と経費を引いて利益を出し、その数字の根拠を添える書類です。創業融資では月平均や12か月の月別で、すでに営業している会社の融資では実績から続く年別で、補助金では付加価値額の伸び率を含む3〜5年の計画で求められます。どの形でも、売上は計算の式で出しておくと根拠を説明しやすくなります。元金の返済は経費と分けて書き、計画を下回ったときの手当ても添えておくと、読み手に伝わりやすくなります。当社の新規事業立ち上げ支援では、計画書を作り込む前に、売上の前提のうち先に確かめたいことを絞り、小さく試して数字を確かめる進め方をご一緒しています。

監修・運営:オプティソース株式会社

経営と起業の実務家チームが、AIを使って事業づくり、集客・営業の強化、業務改善を進める会社です。自社でも製造業向けの事業とサービスを運営し、そこで試したやり方をお客様の事業に使っています。

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