会社のメディア(オウンドメディア)を始めたいけれど、何から決めればよいのか、どれくらいの本数を出せばよいのか分からない。立ち上げの前には、そんな迷いがつきものです。この記事では、オウンドメディアを立ち上げるときに先に決めること、AIで記事を作るときに守るべき線、本数の増やし方、検索に載るまでの見方を、Googleなどの公式の資料をもとに整理します。あわせて、当社が立ち上げ期のスタートアップのメディアを担当し、立ち上げから3か月で3万PV(ページの表示回数)に届いた記録を紹介します。
会社のメディアに予算を回す動きは続いている
まず、会社が自分で持つメディアへの関心がどのくらいあるのかを見ておきます。米国のContent Marketing Instituteなどが2025年6〜8月に行った調査では、主に北米のBtoBのマーケティング担当者1,015人に「2026年に投資を増やす予定の分野」を上位3つまで聞いています。その答えで最も多かったのはAIを使ったマーケティングの道具(45%)で、自社で持つメディア(記事・ウェブサイト・ブログ・メール)は32%でした[1]。
つまり、AIの道具と自社のメディアは、別々の話ではなく同じ時期に投資先として並んでいます。ただし、この数字は北米中心の担当者の回答で、日本の中小企業にそのまま当てはまるわけではありません。「みんなが始めているから」ではなく、自社の読み手に届けたい情報があるかどうかで、始めるかを決めるのが順番です。
オウンドメディアは、広告と違って、出した記事が検索の結果に残り続けるのが特徴です。その反面、効果が見えるまでに時間がかかり、記事を出し続ける手間もかかります。立ち上げを決める前に、この時間と手間をだれがどう引き受けるかを考えておく必要があります。
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Planning
立ち上げの前に決めておく5つのこと
記事を書き始める前に決めておくことは、大きく5つあります。
- だれに読んでほしいか:読み手の立場と、その人が困っていること。社長なのか、現場の担当者なのかで、同じテーマでも書き方が変わります
- 何のテーマを扱うか:テーマをいくつかの分類に分け、扱う範囲と扱わない範囲を決めます
- どんな言葉で探されるか:読み手が検索に使う言葉。自社の言い方ではなく、読み手の言い方で考えます
- 費用:記事を作る費用、道具の費用、確認する人の時間。続けたときの月ごとの額で見ます
- リスク:内容の誤り、検索のルールに反すること、仕組みが止まることなど、起きうる問題と、そのときの対応
Googleは、検索で評価されるコンテンツについて「既存のユーザー層のためではなく、ただ話題になっているという理由で記事を書いていますか」「いずれかが検索結果の上位に表示されることを期待して、さまざまなトピックで多くのコンテンツを制作していますか」といった、自分で確かめるための質問を公開しています[2]。読み手とテーマの範囲を先に決めておくことは、こうした問いに「いいえ」と答えられる状態をつくることでもあります。
ここが決まっていないまま本数を増やすと、何のメディアなのかが読み手にも検索エンジンにも伝わりにくくなります。逆に言えば、設計の段階で「このメディアでは書かないこと」まで決めておくと、あとで本数を増やしても軸がぶれにくくなります。
Our Case
ある支援先で最初にまとめた設計書
当社は、ある支援先(立ち上げ期のスタートアップ)のメディアを、立ち上げから担当しました。
この支援先では、最初に、読み手・テーマの分類(7分類)・狙う言葉・費用の見積もり・リスクをまとめた設計書を作りました。上で挙げた5つを、1つの書類にまとめた形です。
一般に、こうした決めごとを1つの書類にまとめておくと、あとで判断に迷ったときに戻る場所ができます。記事のテーマを足すときも、本数を変えるときも、「どの分類に入るか」「費用の見積もりの範囲に収まるか」で確かめられるからです。
AI and Search
AIで記事を作るときに守る線
AIで記事を作ると検索で不利になるのでは、という心配があるかもしれません。Googleは2023年2月の公式の発表で、コンテンツがどのように作られたかではなく、その品質に重点を置くと説明しています。そのうえで、検索の順位を操作することを主な目的として、AIを含む自動化でコンテンツを作ることは、スパムに関するポリシーへの違反になるとしています[3]。
Googleのスパムに関するポリシーでは、「大量生成されたコンテンツの不正使用」を、ユーザーを助けるためではなく、検索の順位の操作を主な目的として大量のページを作ることと定義しています。作り方は問わない、とも書かれています[4]。つまり、AIで作るか人が書くかではなく、だれのために、どんな価値がある記事を、どれだけ出すのかが問われます。
前に挙げたGoogleの自己確認の質問には、「多くのトピックについてコンテンツを作成する際、かなりの部分に自動化を使用していますか」という問いも入っています[2]。AIで記事を作るなら、読み手とテーマの範囲を設計書で絞っておくことが、そのまま検索のルールを守ることにつながります。
System
記事を作る仕組みと、本数の上げ方
この支援先のメディアでは、記事を作る仕組みを、役割を分けた8つのAIが順に作業する形にしました。作る前に、テーマを301件そろえています。
最初の7本を公開してから1週間ほどで、公開記事は100本を超えました。1日に作る本数は、20本、30本と段階的に上げていきました。
一般論として、AIに記事を作らせる仕組みを組むときは、1つのAIに全部を任せるより、作業を分けたほうが、どこで問題が起きたかを見つけやすくなります。また、テーマを先にそろえておくと、その日に何を書くかで仕組みが止まることがなく、テーマの重なりも先に見つけられます。
一般に、本数を一気に上げずに段階を踏むと、出てきた記事を確かめる手間と、仕組みにかかる費用を見ながら進められます。1日の本数を上げる前に、前の段階で出た記事に問題がないかを確かめてから次へ進む、という順番を決めておけば、途中で止める判断もしやすくなります。なお、本数をどう考えるかは、メディアの段階や役割で変わります。立ち上げの時期に本数を増やすのとは逆に、役割に合う記事に絞るために本数を減らす判断もあり、その例は9つのサイトで記事をAIで回し続けている記録で紹介しています。
読み手や狙う言葉の整理から、AIで記事を作る流れの設計まで、立ち上げの段階からご相談いただけます。
無料で相談するLessons
自動の記事作りが止まったときのこと
この支援先のメディアでは、AIの利用枠が尽きて、自動の記事作りが止まったことがあります。利用枠の管理を見直して、再開しました。
一般に、AIの道具には使える量や金額の上限が決まっています。記事を自動で作る仕組みは、動き続けることを前提に組みがちです。立ち上げの準備として、少なくとも次の3つを決めておくと、止まったときに慌てずに済みます。
- 上限に近づいたことに気づく方法:使った量を定期的に見る人か仕組みを決める
- 止まったときの連絡先:だれが気づき、だれが判断するか
- 再開の手順:上限の見直しで済むのか、本数を減らすのか
Indexing
検索に載るまでに見ておくこと
記事を出しても、検索エンジンに登録されなければ、検索から読まれることはありません。Googleは、サイトのページ数がおよそ500ページ以下の小さなサイトでは、サイトマップ(サイトのページの一覧を検索エンジンに伝えるファイル)が要らない場合があるとしています[5]。逆に言えば、1週間で100本を超えるような速さで記事が増えるメディアでは、早い段階からサイトマップを用意しておくのが無難です。
登録の状況は、Googleの無料の道具であるSearch Consoleの「ページのインデックス登録」レポートで確かめられます。このレポートの説明では、すべてのURLが登録されるわけではないので100%を目指す必要はないこと、新しい記事が登録されるまでに数日かかることがあることが書かれています[6]。
この支援先のメディアでは、検索エンジンに登録された記事は、公開した記事の96%でした。
また、Googleは、サイトに変更を加えたあと、結果を確かめるまでに一般的には数週間待つことをすすめています[7]。立ち上げの最初の数週間は、アクセスの数字よりも、記事が登録されているかを先に見るほうが、次の手を考えやすくなります。
Result
3か月で3万PVと、毎朝のレポート
この支援先のメディアは、立ち上げから3か月で3万PV(ページの表示回数)に届きました。
支援先向けには、毎朝決まった時間にアクセスの数字をまとめたレポートを自動で作り、関係者だけが見られるページに置いています。
レポートを毎朝決まった形で届けておくと、「数字はどうなっていますか」と聞かれてから集める手間がなくなります。外に任せるときは、報告をどの頻度で、どの形で受け取るかを、最初に決めておくのがおすすめです。
Comparison
立ち上げの進め方を比べる
オウンドメディアの立ち上げ方には、いくつかの選び方があります。どれがよいかは、社内に割ける時間と、出したい本数で変わります。
| 進め方 | 向いている場合 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 社内の担当者が手で書く | 本数は少なくてよく、社内に書ける人と時間がある | 担当者の手が空かないと更新が止まる。本数を増やしにくい |
| 記事ごとに外部のライターへ頼む | テーマが決まっていて、1本ずつ品質を見たい | 発注・確認の手間が本数に比例して増える。設計は自社で持つ必要がある |
| 社内でAIの道具を使って書く | 試しに少し出してみたい | 利用枠や確認の手順を自分たちで決める必要がある。検索のルールを知っておく必要がある |
| 設計とAIで記事を作る流れごと外に任せる | 本数を段階的に増やしたいが、社内に仕組みを組む人がいない | 読み手やテーマの判断は社内でも確認が要る。任せる範囲と報告の形を最初に決める |
Sources
参考にした資料
- Content Marketing Institute「B2B Content and Marketing Trends: Insights for 2026」(2025年10月)
- Google 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」
- Google 検索セントラル ブログ「AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス」(2023年2月)
- Google 検索セントラル「Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー」
- Google 検索セントラル「サイトマップについて」
- Search Console ヘルプ「ページ インデックス登録レポート」
- Google 検索セントラル「Google 公式 SEO スターター ガイド」
FAQ
オウンドメディアの立ち上げについてよくある質問
立ち上げの前に、何を準備すればよいですか?
読み手、扱うテーマの分類、狙う言葉、費用、リスクの5つを先に決めておくのがおすすめです。上の支援先では、これを1つの設計書にまとめてから記事作りに入りました。
AIで記事を作っても、検索のルールに反しませんか?
Googleは、作り方ではなく品質を見ると説明しています。ただし、検索の順位を操作することが主な目的の大量生成は、AIでも人の手でもスパムとして扱われます。読み手とテーマの範囲を絞ってから作ることが前提です。
公開した記事は、すべて検索に載りますか?
すべてが載るとは限りません。Search Consoleのヘルプでも、100%の登録を目指す必要はないとされています。上の支援先では、公開した記事の96%が検索エンジンに登録されました。結果はテーマや競合によって変わります。
社内に担当者がいなくても始められますか?
始められます。設計と記事を作る流れを外に任せ、社内では読み手やテーマの方向を確かめる役を持つ、という分け方があります。報告をどの頻度で受け取るかも最初に決めておきます。
立ち上げたあと、最初は何を見ればよいですか?
最初の数週間は、アクセスの数字よりも、記事が検索エンジンに登録されているかを先に見ます。Googleも、変更の結果を確かめるには一般的に数週間待つことをすすめています。
オウンドメディアの立ち上げは、最初の設計と、記事を作り続ける仕組みの両方が要ります。読み手・テーマ・狙う言葉・費用・リスクを先に決め、本数は段階的に上げ、止まったときの手順と検索への登録を見ておく。この順番を守ると、AIで本数を増やしても軸がぶれにくくなります。当社は、狙う言葉の設計やAIで記事を作る流れの設計から、公開後のSearch Consoleの分析や書き直す記事の洗い出しまで、立ち上げのあとも続けてお引き受けしています。

