「経理をもっと自動化したいが、何から手をつければいいかわからない」と感じている経営者の方は多いはずです。請求書の発行、入金の消込、仕訳の入力――経理の仕事は一本道ではなく、いくつもの作業が絡み合っています。そこにAIを使った経理の自動化ツールを闇雲に導入しても、現場が混乱するだけで終わってしまうことも珍しくありません。この記事では、経理自動化を「どの順番で」進めるべきかという判断基準に絞ってお伝えします。
経理自動化、何から手をつければいいかわからない
経理の自動化を検討する際、多くの会社が「評判の良いツールから入れてみる」という進め方をしてしまいます。しかし経理の作業は、請求書を作る→入金を確認する→帳簿に記録する、という流れで順番につながっています。どこか一箇所だけを自動にしても、前後の作業がそのままだと効果が限定的になったり、かえって確認の手間が増えたりすることがあります。経理自動化で成果を出すには、ツール選びの前に「どこから着手するか」という順番を決めることが欠かせません。
🛠 この記事のような事務作業の手間は、ご相談ください。任せたい事務を伺い、今の表や手順のまま使える仕組みをつくります(相談は無料)。
Why Order
経理自動化は順番を間違えると効果が出ない
経理の仕事は、請求書の発行から入金の消込、そして仕訳・集計へと情報が流れていきます。つまり上流である請求書の情報が乱れていれば、その乱れはそのまま下流の消込や仕訳に伝わってしまいます。逆に言えば、上流を整えないまま下流だけを自動化しても、ずれたデータを処理する手間が残り続けます。経理自動化で遠回りをしないためには、請求書→消込→仕訳という流れに沿って、上流から手をつけることが原則になります。
Step1
なぜ請求書発行から着手すべきか
請求書は経理の流れのいちばん上流にあります。ここで宛名・請求番号・金額の書き方がそろっていれば、あとで入金と突き合わせるときも、帳簿に記録するときも、機械で照らし合わせやすくなります。逆に、担当者ごとに書き方が違う請求書のまま先の作業を自動にしても、一致しないものが残り続けます。毎月くり返す作業なので、自動にしたときの手間の差も分かりやすい工程です。具体的な手順は請求書の作成・照合を自動にする方法で取り上げています。
Step2
なぜ入金消込は次の段階なのか
入金消込は件数が多く、時間もかかりやすい作業です。Sansan株式会社(Bill One)の「入金消込業務に関する実態調査」では、経理担当者の7割以上が消込業務に課題を感じており、1社あたり月間平均2500件以上、平均170時間以上をこの作業に費やしているという結果が出ています。負荷が重く、担当者のやり方に頼りがちな作業だからこそ自動化の優先度は高いのですが、請求書の情報が整理されていないままでは、照合の元データ自体が揺れてしまい、自動化の効果が十分に出ません。請求書の整理が済んで初めて、消込の自動化が機能し始めるという順番になります。消込の具体的な進め方は入金消込とは?の記事で扱っています。
Step3
仕訳・集計は、上流のデータがそろってから
仕訳の入力そのものは決まった形の作業で、AIにも任せやすい部分です(経理へのAI導入の全体像は会計AI導入で経理業務はどう変わる?で紹介しています)。ただし、元になる請求や入金のデータがずれていると、自動にしても直す手間が残ります。TOKIUMの調査(出典:TOKIUM)によると、経理担当者は毎月平均20.1時間を仕訳入力に費やしており、判断の基準が口頭での引き継ぎや個人の経験に頼る形で属人化している実態が指摘されています。勘定科目の決め方が担当者の頭の中にしかない状態のまま自動にすると、その曖昧さもそのまま引き継がれます。請求書と消込を整え、仕訳の決まりを書き出してから自動にすると、手直しが少なくて済みます。
まだ検討段階でも相談可能です。現状の課題を伺いながらご提案します。
無料で相談するMisconceptions
経理自動化でよくある3つの誤解
誤解1:最初にAIを入れれば楽になる。実際には、上流の請求書や消込の情報が整っていない状態でAIに仕訳を任せても、元データの乱れをそのまま処理するだけで、確認の手間はむしろ増えることがあります。
誤解2:消込だけ自動にすれば片付く。実際には、請求書の宛名や請求番号の付け方がばらばらだと、自動の消込は一致しないものだらけになり、結局は人の手に戻ります。
誤解3:全部同時に自動化しようとする。実際には、どこから手をつけるかを先に決めないまま一気に進めると、現場が混乱し途中で止まってしまうことがよくあります。何を今やらないかを先に決めておく考え方は、業務効率化は「やめること」から考える―ECRSの排除(Eliminate)で作る“やらないことリスト”の作り方でも触れています。
Check
自社がどこから着手すべきかの見極め方
自社がどの段階から経理自動化に着手すべきかは、次の3つの指標で見極められます。
- 請求書の発行枚数:月に何十枚、何百枚と発行していて、出社や押印のために手間がかかっているなら、請求書発行から着手するのが向いています。具体的な進め方は請求書自動化の記事をご覧ください。
- 消込の件数と時間:月間の消込件数が多く、特定の担当者しか照合ができない状態になっているなら、消込の自動化が優先度の高い候補になります。詳しくは入金消込とは?の記事で扱っています。
- 仕訳の属人化の度合い:仕訳の判断基準が担当者の頭の中にしかなく、引き継ぎに時間がかかっているなら、請求書と消込が整ったうえで仕訳の自動化を検討する段階です。
Comparison
着手パターン別の向き不向き
| 着手パターン | こんな会社に向いている |
|---|---|
| 請求書発行から着手 | 発行枚数が多く、出社や押印のために手間がかかっている会社 |
| 入金消込から着手 | すでに請求データが整理されており、消込の件数・時間が負担になっている会社 |
| 仕訳・集計から着手 | 請求書・消込の情報がすでに整っていて、仕訳の属人化だけが残っている会社 |
| オプティソースの事務作業の自動化 | どこから手をつけるか自社だけでは決めにくい会社。今の手順に合わせて当社が仕組みを作り、動かし始めたあとも手直しを続ける。会計ソフトのように申し込んですぐ使える形ではない |
FAQ
経理自動化の着手順に関するよくある質問
経理の知識がなくても、どこから着手すべきか相談できますか?
はい、ご相談いただけます。当社は注文書の読み取りなど、事務作業を整理して自動化する仕組みづくりを行っており、経理に限らず現状の作業の流れを伺うところから進めます。
請求書と消込、どちらを先にすべきか迷っています。目安はありますか?
請求書の発行枚数が多く出社や押印の手間が大きいなら請求書から、すでに請求データは整っていて消込の件数・時間が負担なら消込から、というのが大まかな目安です。本文の見極め方をあわせてご確認ください。
自動化のツールとAIは何が違うのですか?
自動化ツールは決まった処理を機械的に行う仕組み全般を指すことが多く、AIはその中でも読み取りや判断を伴う部分を担うものと捉えると分かりやすいです。紙の書類を読み取る、届いたメールを分けるといった、形の決まっていない情報を扱う所でAIが役に立ちます。
紙の請求書や手書きの書類が多いのですが、経理自動化の対象になりますか?
対象になります。当社では、FAXの注文書をAIで読み取って受注表に入れる仕組みを作り、動画で公開しています(動画の注文書は架空の見本です)。AIが自信のない欄は黄色にして理由を残し、人はその所だけを確かめます。紙の請求書も、読み取る項目を決めれば同じ形で扱えます。試すときは社名・金額・口座を伏せた見本を使い、実物を使う場合は、ツールの利用規約で入力内容の保存や学習の扱いを確かめ、社外に出してよい書類かを社内で確認してからにしてください。
経理自動化は、請求書→消込→仕訳の順で上流から着手することで、下流の作業も無理なく整っていきます。順番を決めずに評判の良いツールから手をつけると、かえって確認の手間が増えてしまうこともあります。まずは自社の請求書の発行枚数、消込の件数と時間、仕訳の属人化の度合いを確認し、どこから着手すべきかを見極めることから始めてみてください。

