日報のコピペ集計や月末の売上表作成に、毎月同じだけの時間を取られていないでしょうか。「エクセル自動化」と聞くと、難しいマクロやプログラミングを思い浮かべて身構えてしまう方も多いと思います。しかし実際には、関数→ピボットテーブル→マクロ→AIという順で段階を踏めば、事務担当者が無理なく自分の手で進められる範囲は意外と広いものです。この記事では、日報の集計や月次売上表を例に、今日から試せる4段階の進め方を整理します。
日報や売上集計、毎回同じ作業に時間を取られていないか
毎日の日報を部署別・担当者別に集計し直す、月末になると売上表を商品別や地域別に並べ替えて資料を作る。こうした作業は一つひとつは単純でも、積み重なると事務担当者の時間を大きく占めます。「自動化したいが、何から手をつければいいかわからない」という声をよく伺いますが、いきなりマクロやAIに頼る必要はありません。まずは手元にある関数から試し、物足りなくなったら次の手段に進むという考え方で十分です。
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Step1
まずは関数で日報の集計を自動にする(SUMIFSの例)
日報を部署別・担当者別に集計するだけなら、SUMIFS関数で十分対応できます。たとえば「部署が営業部」かつ「日付が今月」という条件で件数や金額を合計する、といった使い方です。毎日の入力欄さえ決まっていれば、集計表の数式は一度作ってしまえば翌日以降も自動で反映されます。マクロのような専門知識は不要で、関数の意味さえ覚えれば事務担当者一人でも十分に扱える範囲です。これがエクセル自動化の最初の一歩になります。
Step2
ピボットテーブルで月次売上表を多角的に見る
関数での集計に慣れてきたら、次はピボットテーブルです。月次の売上データを一度ピボットテーブルにしておけば、商品別・地域別・担当者別といった切り口をクリック操作だけで切り替えられます。関数のように集計軸ごとに数式を書き直す必要がなく、元データさえ整っていれば数分で別の視点の表が作れます。日報集計が「決まった形を自動で出す」段階だとすれば、ピボットテーブルは「同じデータを複数の角度から見る」段階と言えます。
Step3
マクロ・VBAでできることと、向き不向き
関数やピボットテーブルでは対応しきれない、毎回同じ手順を何十回も繰り返すような定型作業には、マクロ・VBAが向いています。たとえば複数のシートから特定の列だけを抜き出して1枚にまとめる、決まったフォーマットでファイルを保存し直す、といった作業です。一方で、条件が頻繁に変わる集計や、担当者ごとに判断が必要な作業には向きません。また、作った本人にしか中身がわからないコードになりやすく、担当者が異動・退職すると誰も直せなくなるという属人化のリスクも抱えやすい手段です。
Misconceptions
エクセル自動化でよくある3つの誤解
誤解1:マクロを極めれば自動化はすべて解決する。実際には、条件がよく変わる業務や判断が絡む作業はマクロに向かず、むしろ関数やピボットテーブルの方が扱いやすい場面が多くあります。
誤解2:関数が使えないと自動化は始められない。実際には、今のデータの形を整理するところから始めれば、簡単なSUMIFSだけでも日々の集計作業はかなり楽になります。
誤解3:AIに任せると中身がわからなくなる。実際には、AIに頼む内容と手順を自分で言葉にして指示する分、ブラックボックス化したマクロより「何をさせているか」が見えやすい場合もあります。
自社のどの作業から手をつけるべきか、判断に迷う段階でもご相談いただけます。
無料で相談するStep4
集計した結果をAIに読ませる例と、頼み方
関数やピボットテーブルで集計した後、その数字をどう読むかという部分は生成AIに任せる方法も広がってきています。たとえば売上表の数字を渡して「先月と比べて落ち込んでいる商品はどれか」「このデータをグラフにするとしたらどんな見せ方がよいか」といった頼み方をすると、集計そのものだけでなく、異常値の指摘やグラフ化の提案まで一度に受けられます。商工中金が2026年1月に実施した調査でも、生成AIの活用事例として「メール・報告書・議事録の作成・要約」(74.0%)に次いで「デスクワーク作業支援・自動化」が48.7%にのぼっており(商工組合中央金庫)、事務の定型業務へのAI活用はすでに広がりつつあるトレンドと言えます。エクセル自動化をどこまで自社で進め、どこからAIを含めた業務自動化に広げるかという判断の基準は、AI業務自動化とは?中小企業が今すぐ始められる進め方でも整理しています。売上表には取引先名や金額が入るので、AIに渡すときは社名を伏せた表で試すのが基本です。実物を使う場合は、入力した内容が保存や学習に使われないかを利用規約で確かめ、社外のサービスに出してよい情報かを社内で確認してからにしてください。
Comparison
関数・ピボット・マクロ・AI、どこまで自社でやりどこから任せるか
| 手段 | 向いている作業・リスク・自社での対応しやすさ |
|---|---|
| 関数(SUMIFS等) | 日報集計など条件がはっきりした作業に向く。数式の意味さえ理解すれば事務担当者が一人で扱える |
| ピボットテーブル | 同じデータを複数の切り口で見たいときに向く。操作を覚えれば専門知識がなくても扱える |
| マクロ・VBA | 繰り返しの定型作業に向くが、作成した担当者しか中身を理解できず、属人化しやすい |
| AIに集計結果を読ませる | 集計結果の解釈やグラフ化の提案に向く。頼み方次第で結果の質が変わる |
| 自社サービス(事務作業の自動化の相談) | 今お使いのエクセルの形に合わせて当社が仕組みを作り、動かし始めたあとも見守りと手直しを続ける。人が代わりに作業するサービスではなく、既製品のように申し込んですぐ使える形でもない。 |
Process
自社に合わせて段階を上げる手順
- 現状把握:今どの作業に、どれくらいの頻度で時間を取られているかを洗い出す。
- 関数の導入:日報集計など条件が明確な作業から、SUMIFSなどの関数で自動化する。
- ピボットテーブルの活用:月次売上表など、複数の切り口で見たい集計にピボットテーブルを使う。
- マクロの要否判断:繰り返しの定型作業が残っている場合のみ、属人化のリスクを踏まえてマクロを検討する。
- AI活用の検討:集計結果の解釈やグラフ化、入力作業そのものの自動化をAIに任せられないか検討する。
当社では、届いたFAXの注文書をAIで読み取り、今使っているエクセルの受注表に入れる仕組みを作って、動画で公開しています。AIが自信のない欄は黄色にして理由を残し、人は黄色の所だけを確かめる形です。集計を自動にする前に、入力そのものを減らすのも1つの手です。
FAQ
エクセル自動化に関するよくある質問
マクロを作った担当者が辞めたらどうなりますか?
中身を理解している人がいなくなると、修正や調整ができなくなるおそれがあります。実際にNTTデータビジネスブレインズの調査では、営業事務経験者の64.2%が前任者の謎のマクロや複雑な関数の解読・修正に苦労した経験があると回答しており(NTTデータビジネスブレインズ)、マクロは便利な一方でこうしたリスクを伴う手段です。
AIに売上や顧客の数字を入力しても大丈夫ですか?
利用するAIサービスの契約条件や、入力するデータの機密度によって判断が分かれます。社外に出せない情報が含まれる場合は、どこまでをAIに渡すかを事前に整理しておくことをおすすめします。
関数とマクロはどう使い分ければいいですか?
条件がはっきりしていて都度変わらない集計は関数で十分対応できます。手順そのものを何十回も繰り返すような定型作業が残っている場合に、マクロを検討するという順番で考えるとわかりやすくなります。
エクセルだけで対応できなくなるのはどんなときですか?
複数の担当者が同時に編集したい、データ量が増えて動作が重くなった、といった状況が出てきたら、エクセル以外の仕組みも含めて検討するタイミングです。まずは現状の作業を整理した上で相談いただくのがよいかと思います。
社内にエンジニアがいなくても自動化は進められますか?
関数やピボットテーブルの範囲であれば、専門知識がなくても事務担当者だけで十分に進められます。マクロやAIを使った仕組みづくりなど自社だけで判断が難しい部分は、外部に相談しながら進める方法もあります。
エクセル自動化は、関数→ピボットテーブル→マクロ→AIという順で段階を踏めば、事務担当者が自分の手で進められる範囲は思っているより広いものです。一方でマクロは、複雑になるほど属人化しやすく、作った本人以外が手を入れにくくなるという調査結果もあります。複雑なマクロを極めることよりも、関数とAIを組み合わせて無理のない範囲で自動化を進める方が、多くの中小企業にとって現実的な着地点になるはずです。自社の作業のどこから手をつけるべきか迷う場合は、お気軽にご相談ください。

