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受発注システムの選び方|FAX・電話の注文を置き換える手順と、既製品か作るかの判断

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「FAXで届いた注文書を毎朝パソコンに打ち直している」「電話で受けた注文のメモが見つからない」「受発注システムを入れたいが、取引先が使ってくれるか不安だ」。会社どうしで物を売り買いする中小企業では、こうした悩みが珍しくありません。この記事では、受発注システムで何ができるのかを整理したうえで、FAX・電話・メールの注文をどう置き換えるか、既製のサービスを使う場合と自社用に作る場合の比べ方、選ぶときに確かめる点、取引先に使ってもらうための工夫を順に説明します。税や取引のルールに関わる部分は、国税庁や公正取引委員会の公式資料で確かめた2026年11月時点の内容です。

この記事の結論

  • 受発注システムは、注文を受けてから出荷・請求するまでを1つの記録でつなぎ、打ち直しや聞き間違いを減らすための仕組みです。
  • FAXや電話の注文は入れた日からなくなるわけではないので、受け方ごとに「どこまで置き換えるか」「何がしばらく残るか」を先に決めておきます。
  • 既製のサービスで足りるかは、取引先ごとの単価・締め日・送料などの決まりを載せられるかで判断します。足りない部分だけを作る組み合わせもあります。
  • うまくいくかどうかは、取引先が実際に画面から注文してくれるかで決まります。取引先の手間を減らし、しばらくはFAXや電話の注文も受け続けます。
  • FAXを電子データで受けたり、メールの注文を残したりするときは、電子取引のデータとしての保存の仕方も一緒に決めておきます。
目次

受発注システムとは:注文を受けてから請求するまでを、1つの記録でつなぐ仕組み

受発注システムは、取引先からの注文を受け付け、在庫や納期を確かめ、出荷し、請求するまでの情報を、ひと続きのデータとして扱う仕組みです。注文を受ける側(受注側)が使うものと、注文を出す側(発注側)が使うものがありますが、この記事では主に、取引先から注文を受ける側の目線で話を進めます。注文を受け付けてから請求するまでの事務の流れそのものは、受発注業務の流れとミスが起きやすい所を整理した記事で詳しく紹介しています。

会社どうしの取引(BtoB)には、一般の消費者向けの通信販売とは違う事情があります。取引先ごとに単価や掛け率(定価に対する割合)が違う、締め日と支払日が決まっている、同じ品物を毎週くり返し注文してもらう、といった点です。受発注システムを選ぶときは、こうした会社どうしの取引の決まりをそのまま載せられるかが大切になります。

もう1つ知っておきたいのが、受注側の事情です。中小企業庁が運営する支援サイト「ミラサポplus」では、発注側の会社ごとに違うシステムが使われるため、受注側は取引先の数だけ画面を開いて対応しなければならない「多画面問題」が起きていると紹介されています。また、いくつものシステムに対応しきれない小さな会社では、電話やFAXでのやりとりが多くなり、受け取った注文を手で入力するときの入力ミスや書類の紛失につながっている、とも書かれています[1]。受発注システムを入れるときは、自社の手間だけでなく、取引先の手間がどう変わるかも一緒に考える必要があります。

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Features

受発注システムでできること

製品によって違いはありますが、会社どうしの取引で使う受発注システムには、おおむね次のような働きがあります。

取引先が自分で注文を入れられる

取引先がパソコンやスマートフォンから画面を開き、品物と数を選んで注文します。注文の内容は最初からデータになるので、受注側が打ち直す作業がなくなります。過去の注文をそのまま呼び出して出し直せる仕組みがあると、くり返しの注文が多い取引先ほど使ってもらいやすくなります。

取引先ごとの単価や条件を守れる

取引先ごとに見せる品物と単価を分けたり、最低の注文数や送料の決まりを入れたりできます。会社どうしの取引では、ここが合わないと結局は手で直すことになるため、製品を比べるときの大事な点です。

在庫・納期・出荷・請求へつなげられる

受けた注文から、出荷の指示や納品書、請求書を作れます。今使っている販売管理や会計のソフトにデータを渡せるかどうかで、入れたあとの手間の減り方が大きく変わります。

やりとりの記録が残る

いつ、だれが、何を注文し、どう変わったかが残ります。「言った、言わない」の行き違いが減り、注文の変更や取り消しの経緯もあとから確かめられます。

Replacing Fax

FAX・電話・メールの注文をどう置き換えるか

受発注システムを入れても、すべての取引先が初日から画面で注文してくれるわけではありません。現実には、しばらくのあいだFAXや電話の注文が並んで残ります。そこで、受け方ごとに「どこまで置き換えられるか」「何が残るか」を先に決めておくと、二重の作業が長引きにくくなります。

今の受け方いま起きやすい手間置き換え方の例しばらく残る作業
FAX注文書の打ち直し、読み間違い、紙の紛失注文の多い取引先から画面での注文に移ってもらう。残るFAXは紙を電子データで受ける形にし、読み取りの道具で入力を助ける読み取った内容を人が確かめる作業
電話聞き間違い、メモの書き写し、担当者しか分からない注文くり返しの注文は画面に移ってもらい、急ぎや相談ごとは電話で受けてその場で画面に入れる急ぎの注文や、相談しながら決まる注文
メール本文や添付ファイルからの書き写し、見落とし決まった様式の注文は画面に移ってもらう。メールで受けるものは保存の決まりを社内で決めておく決まった形に収まらない注文

置き換えるときに見落としやすいのが、データの保存のルールです。国税庁の電子帳簿保存法の一問一答では、注文書や見積書などに通常書かれる事項を電子的にやりとりする取引を「電子取引」と呼び、受発注の仕組み(EDI取引)、インターネットを使った取引、メールでのやりとり(添付ファイルを含む)、サイトを通じたやりとりが例として挙げられています[2]。同じ一問一答では、紙を出さずに受け取ったデータを保存する形のFAX(ペーパーレスFAX)の利用も電子取引にあたると考えられる、とされています。メールで受け取ったデータについては、メールソフトで見られるだけでは十分とは言えず、検索できる状態で保存する必要があるとも書かれています[2]。

つまり、FAXを電子データで受ける形に変えたり、メールの注文を残したりするときは、そのデータをどこにどう保存するかまで一緒に決めておく必要があります。電子取引を行った場合にそのデータを保存しなければならないことは、電子帳簿保存法の第7条に定められています[3]。細かな要件は一問一答の該当する問いで確かめ、迷う場合は税理士に相談してください。

Build or Buy

既製のサービスを使うか、自社用に作るか

受発注システムを手に入れる方法は、大きく4つに分けられます。どれが正解というより、取引の形と、今のやり方のどこを変えたくないかで向き不向きが決まります。表のいちばん下の「自社専用に作る」方法(スクラッチ開発)が向くのはどんな場合かは、スクラッチ開発とパッケージ・SaaS・ノーコードの違いを整理した記事で、取引先と決まった形でデータをやりとりする場合などの例を挙げて説明しています。

手に入れ方使い始めるまで自社の取引への合わせやすさ費用のかかり方向いている場面
クラウド型のサービス(インターネット経由で借りて使う)早い用意された設定の範囲で合わせる月ごとの利用料が中心取引の形が一般的で、まず試したい
パッケージ(買い取って自社用に設定する)設定の分だけかかる設定や追加の作り込みである程度合わせられる最初の費用と保守の費用販売管理などとまとめて入れ替えたい
ノーコードの道具で自作(プログラムを書かずに作れる道具)作る人しだい社内で直しやすい道具の利用料と社内の手間扱う件数が少なく、社内に作れる人がいる
自社専用に作る長くなりやすいいちばん合わせやすい作る費用と、その後の保守の費用独自の値決めや工程があり、既製品では業務が回らない

最初からすべてを作る必要はありません。たとえば、注文の受け付けはクラウド型のサービスを使い、取引先ごとの特別な単価の計算や、社内の基幹システムへのデータの受け渡しだけを作る、という組み合わせもあります。外に頼んで作る場合の費用の考え方は業務システム開発の費用相場と内製・外注の判断の記事で紹介しています。

既製のサービスの料金は、利用者の数や取引先の数、注文の件数などで決まるものがあり、製品ごとに数え方が違います。比べるときは月額だけで判断せず、追加の機能や他のソフトとのつなぎ込みの費用を含めて、数年使った場合の合計で見るようにしてください。料金表を公開していない製品も多いため、試用を申し込むときに、取引先の数が今の2倍になった場合の月額も合わせて聞いておくと比べやすくなります。

How to Choose

受発注システムの選び方:比べる前に決めておく5つのこと

製品の一覧を見比べる前に、次の5つを社内で書き出しておくと、候補をかなり絞れます。

  1. どの取引先の、どの注文から移すか:注文の回数が多く、品物と数だけで決まる取引先から始めると、効果が見えやすくなります。
  2. 取引先ごとの決まりを全部書き出す:単価、掛け率、締め日、送料、最低の注文数など、取引先ごとの違いを表にします。これが載せられない製品は、入れても手で直す作業が残ります。
  3. 今のソフトとどこでつなぐか:販売管理、在庫管理、会計のどのソフトにデータを渡すのかを決めます。ファイルの形で受け渡すのか、自動でつなぐのかで、選べる製品が変わります。
  4. 取引先の手間がどう変わるか:取引先が新しく覚えることは何か、ログインのための登録が必要か、スマートフォンで使えるかを確かめます。
  5. FAXや電話の注文をいつまで、どう受けるか:しばらく並んで残る注文を、だれがどの画面に入れるかを決めます。ここが決まっていないと、システムの外に注文が残り続けます。

外の会社に見積もりを頼む場合は、システム開発会社に見積もりを頼む前に確かめる点をまとめた記事も参考にしてください。

Adoption

取引先に使ってもらうための工夫

受発注システムがうまくいくかどうかは、機能の多さより、取引先が実際に画面から注文してくれるかで決まります。取引先から見れば、新しい仕組みは「覚えることが1つ増える」話です。次のような工夫で、その負担を小さくします。

取引先の手間を先に減らす

たとえば、ログインのための登録を求めない作りや、前回と同じ注文をそのまま出し直せる作りにすると、使い始めてもらいやすくなります。当社が発注する側の見積・受発注の仕組みを作ったときは、見積に答える仕入先にアカウントの作成をお願いせず、メールのリンクを開くだけで単価と納期を回答してもらう形にしました。相手に新しい手間をどこまでお願いするかという考え方は、注文を受ける側の仕組みでも同じです。詳しくはAIで受発注を回すシステムを作りながら考えたことの記事で紹介しています。

移る理由を取引先の言葉で伝える

「当社の事務が楽になるから」だけでは、取引先は動きにくいものです。注文が受け付けられたかどうかが画面ですぐ分かることや、過去の注文をいつでも見返せることなど、取引先の側の利点を伝えます。

しばらくはFAXや電話も受け続ける

いきなりFAXや電話をやめると、取引先との関係を損ねかねません。移ってもらう取引先の順番と、並べて受ける期間を決め、使い方の問い合わせを電話で受ける窓口も用意しておきます。

Rules

入れる前に確かめておく法律と補助金

発注書面のルールも確かめる

ここまでは注文を受ける側の目線で説明してきましたが、自社が発注する側としても受発注システムを使う場合は、発注の書面のルールも確かめておきます。製造や修理の委託など、取適法(中小受託取引適正化法)の対象になる取引では、発注の内容を書面か電子メールなどの電磁的方法で示す義務があります。2026年1月の施行で、この書面を渡す義務は、相手(中小受託事業者)の承諾がなくても、電子メールなどの方法で果たせるようになりました。ただし、電子メールなどで示したあとに相手から書面を求められた場合は、原則として遅れずに書面を渡す必要があります。取引が終わったあとの記録を作って2年間保存する義務もあります[4]。対象になる取引や会社の規模の条件は、公正取引委員会の資料で確かめてください。

補助金の枠も確かめる

中小企業がITの道具を入れる費用を支える「デジタル化・AI導入補助金」(旧IT導入補助金)には、発注する側がインボイス制度に対応した受発注ソフトを入れ、受注する側の中小企業などに無償で使ってもらう場合などを支える「インボイス枠(電子取引類型)」があります[5][6]。対象になる道具や条件は年度の公募要領で変わるため、申請の前に必ず確かめてください。

FAQ

受発注システムについてよくある質問

受発注システムとEDIは何が違いますか?

EDIは、会社どうしが決まった形式で注文などのデータを自動でやりとりする仕組みのことで、受発注システムのつなぎ方の1つです。取引先が画面を開いて注文を入れる形の受発注システムは、相手の側に特別な仕組みがなくても使える点が違います。取引先にEDIの仕組みがある場合は、それとつなげられるかを確かめます。

小さな会社でも受発注システムを入れる意味はありますか?

注文の件数が少なくても、打ち直しや聞き間違いで困っているなら意味があります。ただし、取引先が数社しかなく注文も月に数回なら、表計算ソフトと決まった様式の注文書で十分なこともあります。まずは打ち直しにかかっている時間と、起きているミスを数えてから判断するのがおすすめです。

受発注システムを入れたら、FAXの注文はいつまで受ければよいですか?

決まった期限はなく、取引先ごとに決めるのが現実的です。まず、注文の回数が多く、品物と数だけで決まる取引先から順に画面へ移ってもらいます。並べて受ける期間は、取引先ごとに「画面での注文が何回続いたらFAXの受け付けを終えるか」を決めておき、終える前には取引先に知らせて了解をもらいます。FAXの注文書を読み取って入力する場合も、読み取った内容を人が確かめる手順を残しておきます。

既製のサービスで足りるか、作るべきかは、どう判断すればよいですか?

取引先ごとの決まりを書き出し、既製のサービスの試用期間でその決まりを実際に入れてみるのが確実です。どうしても載らない決まりが業務の中心にあるなら、その部分だけを作るか、全体を自社用に作るかを考えます。判断に迷う段階でも、書き出した決まりを持って外の会社に相談すると話が早く進みます。

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どんなシステムを、どう進めてつくるか。これまでにつくったシステムと一緒に1冊にまとめました。

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受発注システムは、注文を受けてから請求するまでを1つの記録でつなぎ、打ち直しや聞き間違いを減らすための仕組みです。入れるときは、まず取引先ごとの決まりとFAXや電話の注文の受け方を書き出し、そのうえで既製のサービスで足りない部分だけを作るかどうかを考えると、無理なく進められます。取引先に使ってもらう工夫と、電子取引の保存のルールも、選ぶ段階から一緒に考えておくことをおすすめします。自社の取引に合う形を一緒に整理したい方は、お気軽にご相談ください。

監修・運営:オプティソース株式会社

経営と起業の実務家チームが、AIを使って事業づくり、集客・営業の強化、業務改善を進める会社です。自社でも製造業向けの事業とサービスを運営し、そこで試したやり方をお客様の事業に使っています。

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