「受発注業務を見直したいが、何から手をつければいいのかわからない」という相談を事務担当の方からよくいただきます。受発注業務という言葉は広く使われていますが、実際には注文を受けてから請求を出すまでの一連の事務作業を指しています。この記事では、売る側(受注側)の事務に絞って、注文受付から請求までの流れと、どの工程でミスや手間が生まれやすいのかを整理します。なお、仕入先を比較して注文する側(買う側)の話は対象にしていません。
受発注業務とは何か——注文受付から請求までを指す言葉
受発注業務とは、注文を受け付けてから、入力・確認・出荷・請求までを行う一連の事務作業のことです。本記事では売る側(受注側)の業務に限定して扱います。買う側が複数の仕入先を比較して発注先を決める、といった話は含みません。実際には多くの中小企業で、この一連の作業が紙やFAX、電話を中心に行われています。日経クロステックの記事では、帝国データバンクの調査をもとに、日本の中小企業の7〜8割が受発注をFAXでやり取りしていると紹介されており、「受発注業務は紙やFAXが前提」という状態は今も珍しくありません。
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Flow
受発注業務の流れ|「注文受付→請求」の6つの工程
受注側の作業は、おおよそ次の6つの工程に分かれます。
- 注文受付:FAX・電話・メール・Webなどで注文が届く。
- 受注入力:届いた注文内容を、受注台帳や販売管理システムに転記する。
- 在庫確認:手配可能な数量があるかを確認する。
- 納期回答:在庫状況をもとに、顧客へ納期を伝える。
- 出荷指示:倉庫や工場へ出荷の指示を出す。
- 請求:出荷実績をもとに請求書を作成し、送付する。
工程としては単純ですが、どの会社でも同じ流れを踏んでいるからこそ、各工程で起きる手間の積み重ねが「受発注業務は難しい」という感覚につながっています。
自社のフローのどこで手間が生まれているか、整理の段階からご相談いただけます。
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なぜ「受発注業務は難しい」と言われるのか——よくある誤解3点
誤解1:FAXや電話での受注は、業種的に仕方がない。実際には、FAXや電話を使うこと自体が問題というより、そこから先の「手で転記する」工程が積み重なることが負担を生んでいます。株式会社アイルの調査では、中堅・中小企業の85.8%が転記作業を伴う「アナログ業務」で受注しており、受注方法の最多はFAX(37.2%)という結果が出ています。受け取り方自体を変えなくても、転記部分だけを見直す余地があります。
誤解2:入力ミスは、注意すれば防げる。実際には、同じ注文内容を受注入力・在庫確認・請求と何度も見返す構造そのものが、転記ミスや確認漏れを生みやすくしています。個人の注意力ではなく、工程の数を減らす方向で考える必要があります。
誤解3:受発注業務のシステム化は、ある程度の規模の会社でないとできない。実際には、既存のExcelの受注表をそのまま使いながら、入力の手前だけを仕組み化するといった小さな単位での改善も可能です。全体を一気に置き換える必要はありません。
Process
工程別に見る、ミスと手間が生まれやすいポイント
受注入力の工程では、FAXや手書きの注文書を見ながら受注表へ一件ずつ転記するため、品番や数量の読み間違い・入力漏れが起きやすくなります。在庫確認・納期回答の工程では、受注表と在庫表を別々に見比べる二重チェックが必要になり、担当者によって確認の精度にばらつきが出ます。出荷・請求の工程では、出荷実績と請求内容の突合が漏れ、数量の食い違いに気づかないまま請求書を発行してしまうケースもあります。
当社では、FAXや手書きの注文書をスマホで撮影するかスキャナーで読み込むだけで、AIが内容を読み取って受注表(Excel)に明細を1行ずつ入力する仕組みを作り、動画で公開しています。読み取りに自信がない欄は黄色で示し、横の欄に理由を添えることで、人が確認するのは黄色の箇所だけで済むようにしています。手書き・かすれたFAX・印刷・複合機のスキャンPDFの4種類で試しており、受注表の列構成は、各社が今使っているExcelの形式に合わせられます(動画内の注文書は社名・品名とも架空の見本です)。こうした事務作業の自動化の中でも、受注の入力は、受注入力の転記ミスを減らす入り口として位置づけています。なお、入力以外の繰り返し作業を自動化したい場合は、RPA導入支援のように既存の作業手順をそのまま自動化する選択肢もあります。
Comparison
受注入力の管理方法を比較する
| 管理方法 | 転記・二重入力の起きやすさ |
|---|---|
| FAX・電話+手入力 | 受け取るたびに手で転記するため、品番や数量の読み違いが起きやすい。 |
| Excel・紙台帳管理 | 転記先が一本化される分やや改善するが、在庫表・請求書との突合は依然として手作業になりやすい。 |
| 受発注システム/EDI連携 | 仕組みとしての重複入力は減らせる。中小企業庁の受発注のデジタル化に関する報告書では、全銀EDIシステム(ZEDI)を入れた検証で、決済に関わる業務の時間が発注側・受注側とも55%以上減ったと紹介されている。ただし取引先にも対応してもらう必要がある。 |
| 事務作業の自動化(オプティソース) | 既存のFAX・Excelの運用を大きく変えずに、転記部分だけを段階的に見直せる。一方で、取引先側のシステム変更を伴う本格的なEDI連携ほどの業務時間の削減は前提にしていない。 |
FAQ
受発注業務に関するよくある質問
受発注業務とEDIの違いは何ですか?
受発注業務は注文受付から請求までの一連の事務作業そのものを指す言葉です。EDIはその中の受注データのやり取りを、企業間でシステムを使って自動的に行う仕組みの一つで、受発注業務を効率化する手段の一つという位置づけになります。
小規模の会社でも受注入力の自動化はできますか?
可能です。全体を一度にシステム化するのではなく、今使っているExcelの受注表はそのままに、FAXや手書きの注文書を読み取って入力する部分だけを仕組み化する、といった小さな単位からの見直しができます。
紙やFAXでの受注をすぐにやめられない場合はどうすればよいですか?
受け取り方を変える必要はありません。FAXや手書きの注文書を受け取ったあとの「転記する」部分だけを見直すことで、受け取り方法を変えずに手間とミスを減らすことができます。
事務作業の自動化の相談は、受発注業務以外でも依頼できますか?
はい。受発注業務に限らず、請求書や勤怠、報告書などの事務作業全般について、どこに手間がかかっているかの整理から相談いただけます。
受注側の受発注業務は、注文受付から受注入力・在庫確認・出荷・請求までの一連の流れであり、FAXや電話を起点とした転記の多さが「難しい」と言われる主な理由です。まずは自社のフローを工程ごとに書き出し、どこで転記や二重チェックが発生しているかを特定することが見直しの第一歩になります。

