メディアのアクセスの数字を、毎週だれかが手で集めて表にしている。その作業に時間がかかるうえ、担当者によって集め方が少しずつ違う。そんな状態なら、レポートを自動で作る仕組みにすると楽になります。ただし、自動にすると、数字の扱いの間違いも毎日くり返されます。この記事では、アクセス解析の道具(GA4)と、Googleの検索の結果を見る道具(Search Console)の点検を毎日自動で回すときに、何を集め、だれが何を見るか、数字の扱いでどこを間違えやすいかを、公式のヘルプをもとに整理します。あわせて、ある支援先のメディアで毎朝レポートを作っている記録と、そこで起きたつまずきを紹介します。
GA4とSearch Consoleは、見ているものが違う
まず、2つの道具の違いを押さえておきます。GA4は、サイトに来た人が何ページ見たか、どこから来たかなど、サイトに来たあとの動きを見る道具です。Search Consoleは、Googleの検索結果にサイトが何回表示され、何回クリックされたかなど、サイトに来る前の数字を見る道具です。
2つは数字が出そろうまでの時間も違います。GA4のヘルプでは、データの処理には24〜48時間かかることがあり、その間にレポートの数字が変わる場合があると説明しています[1]。Search Consoleのヘルプでは、集めたデータは通常2〜3日以内に使えるようになるとしています。また、検索の数字は日ごとの区切りを米国カリフォルニア州の時刻で数えているため、日本の時刻の1日とはずれます[2]。
つまり、「昨日の数字」を毎朝集めても、その時点ではまだ数字が出そろっていないことがあります。自動のレポートを作るときは、この時間差を前提に組む必要があります。
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What to Collect
毎日集める数字と、集めない数字
自動のレポートで集める数字は、多ければよいわけではありません。一般には、判断に使う数字だけに絞ります。メディアの点検なら、次のような分け方がわかりやすくなります。
- 検索での見られ方(Search Console):表示回数、クリック数、クリック率、平均掲載順位
- サイトに来た人の動き(GA4):どこから来たか(検索、SNS、直接など)、どの記事が読まれたか
- サイトの状態:公開している記事の数
- 事業の数字:問い合わせや資料ダウンロードの件数(これは数える場所を別に決める。後で説明します)
Search Consoleのヘルプでは、クリック数を検索結果からサイトがクリックされた回数、表示回数を検索結果にサイトが表示された回数、クリック率をクリック数を表示回数で割った値と説明しています。また、最新のデータは暫定値で、その後数時間で変わることがあり、グラフでは点線で示されるとしています[3]。
Our Case
ある支援先で、毎朝レポートを自動で作っている
ある支援先のメディアでは、毎朝決まった時間に、GA4・Search Console・サイトの記事数を集め、支援先向けのレポートを自動で作って、関係者だけが見られるページに置いています。
週の初めには、1週間の動きについてのコメントをAIが書きます。AIには「渡した実測の数字以外の数字を書かない」と指示しています。
Search Consoleの数字は確定するまで数日かかるため、直近3日分を外して集計します。
検索の結果だけで判断せず、GA4の流入と並べて見ます。
Who Reads
レポートを置く場所と、見る人を決める
自動のレポートを作るときは、中身と同じくらい、どこに置いてだれが見るかが大事です。一般には、次の3つを先に決めておきます。
- 見る人:社長、マーケティングの担当者、外の協力会社など。見る人によって、知りたい数字の細かさが違います
- 置く場所:アクセスの数字や問い合わせの件数は、外に出したくない情報です。だれでも見られる場所ではなく、見る人を限った場所に置きます
- 見たあとに、だれが何をするか:数字が大きく変わったときに、だれに知らせ、だれが原因を調べるかを決めておきます。見るだけで終わるレポートは、やがて見られなくなります
毎朝同じ時間に、同じ形で届くことにも意味があります。見る人が「朝いちばんにここを見れば分かる」と覚えれば、数字を聞かれてから集める手間がなくなり、話し合いも同じ数字から始められます。
Pitfall 1
間違えやすい所1:確定していない数字を混ぜる
Search Consoleの数字を自動で取り出す窓口(API)の説明書では、取り出すデータの状態を選べるようになっています。何も指定しないか「final」を指定すると確定したデータだけが返り、「all」を指定すると最新のデータも含まれます[4]。最新のデータを含めると、直近の日の数字があとから増えることがあり、前の週と比べたときに「直近だけ落ちている」ように見えてしまいます。
一般には、次のどちらかで扱いをそろえます。
- 確定したデータだけを使い、直近の数日は集計から外す
- 直近の数日も載せるが、「まだ確定していない」と分かる印を付ける
どちらにするかを決めずに、日によって扱いが変わるのがいちばん危ない状態です。自動のレポートなら、決めた扱いを毎日同じようにくり返せます。
Pitfall 2
間違えやすい所2:2つの道具の数字をそのまま比べる
Search ConsoleのクリックとGA4の検索からの訪問は、似た数字に見えますが一致しません。GA4のヘルプでは、Search Consoleが正規のURL(同じ中身のページが複数あるときに代表として扱うURL)でデータをまとめるのに対し、GA4は実際に人が来たページのURLを使うと説明しています[5]。Search Consoleのヘルプでも、重複したアクセスやロボットのアクセスを除くなどの処理をしているため、他の道具の数字と違うことがあるとしています[2]。
だから、2つの数字は「どちらが正しいか」ではなく、「同じ向きに動いているか」で見ます。検索のクリックが増えているのにGA4の検索からの訪問が増えていないなら、どこかで数え方か計測に問題がある、という手がかりになります。
日の区切りの違いにも気をつけます。先に触れたとおり、Search Consoleの日ごとの数字はカリフォルニア州の時刻で区切られています。GA4を日本の時刻で設定していれば、同じ「10月1日」でも、2つの道具で数えている時間帯がずれます。1日ごとに細かく比べるより、1週間などのまとまりで比べるほうが、このずれの影響を受けにくくなります。
Search Consoleのデータをもとにした定期的な報告や、書き直す記事の洗い出しについて、今のメディアの状況からご相談いただけます。
無料で相談するPitfall 3
間違えやすい所3:件数を別の場所の数字と取り違える
この支援先では、資料のダウンロードの件数を、別の場所の数字と取り違えて「ダウンロードなし」と誤って報告したことが2回ありました。ダウンロードは、問い合わせを管理する道具の側で必ず数える決まりにしました。
一般に、資料ダウンロードや問い合わせの件数は、アクセス解析の道具でも、フォームの道具でも、問い合わせを管理する道具でも数えられます。数える場所が複数あると、それぞれの数字が少しずつ違い、どれを見たかで報告が変わります。とくに「0件」は、本当に0なのか、見る場所を間違えたのかを区別しにくい数字です。
件数のように事業の判断に直結する数字は、「この数字はここで数える」と1か所に決め、レポートにもどこで数えたかを書いておきます。
AI Comment
AIにコメントを書かせるときに決めること
数字の表だけのレポートは、忙しい人には読まれにくいものです。週に1回、動きを短い文章でまとめたコメントがあると、どこを見ればよいかが伝わります。その文章をAIに書かせる場合、気をつけたいのは、AIがもっともらしい数字を自分で作ってしまうことです。
一般には、次のような決まりを先に作っておきます。
- 使ってよい数字を渡し、それ以外の数字を書かせない
- 原因の決めつけを書かせない:「〇〇のため減った」ではなく「減った」と事実を書き、原因は人が確かめる
- 確定していない期間の数字には、その旨を添えさせる
コメントを読む人にとっては、AIが書いた文章も、担当者が書いた文章も同じ報告です。数字が1つ違っているだけで、レポート全体が信用されなくなります。
Weekly
毎日の点検と、毎週の作業を分ける
毎日の点検は、異常に早く気づくためのものです。一方で、次に何の記事を書くかといった判断は、毎日ではなく週に1回くらいの間隔で見るほうが、日ごとのぶれに振り回されません。
当社のサイトでも、毎週決まった曜日に、Googleの新着情報の見張りや、検索の結果から次の記事のテーマを補う作業を自動で回しています。
一般には、毎日見るもの(数字が急に変わっていないか、仕組みが止まっていないか)と、毎週見るもの(何が伸びたか、次に何を書くか)を分けておくと、レポートを見る人の手間も減ります。
Comparison
レポートの作り方を比べる
| 作り方 | 向いている場合 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 担当者が画面を見て手で表にする | 見る数字が少なく、月に1回で足りる | 集め方が人によって変わる。忙しいと止まる |
| GA4やSearch Consoleの画面をそのまま共有する | 見る人が道具の使い方を知っている | 見る人ごとに期間や条件が変わり、話がかみ合わない |
| 毎日自動で集めてレポートにする | 毎日の異常に早く気づきたい。見る人が多い | 確定していない数字の扱いと、件数を数える場所を先に決める必要がある |
| Search Consoleの分析と定期的な報告を外に任せる | 数字を見て次の手を決める人が社内にいない | 件数などの事業の数字は社内の道具で数える。報告の形と頻度を最初に決める |
Sources
参考にした資料
FAQ
GA4・Search Consoleのレポート自動化についてよくある質問
昨日の数字を毎朝集めても大丈夫ですか?
まだ数字が出そろっていないことがあります。GA4はデータの処理に24〜48時間かかることがあり、Search Consoleは通常2〜3日以内に使えるようになるとされています。上の支援先では、Search Consoleの直近3日分を外して集計しています。
Search ConsoleのクリックとGA4の訪問が合わないのはなぜですか?
数え方が違うためです。Search Consoleは正規のURLでまとめ、GA4は実際に来たページのURLを使うなどの違いがあります。どちらが正しいかではなく、同じ向きに動いているかで見ます。
問い合わせや資料ダウンロードの件数は、どこで数えればよいですか?
1か所に決めることが大事です。上の支援先では、件数を取り違えて報告したことが2回あり、ダウンロードは問い合わせを管理する道具の側で必ず数える決まりにしました。
AIにレポートのコメントを書かせても大丈夫ですか?
使ってよい数字を渡し、それ以外の数字を書かせない決まりにしておくのが前提です。上の支援先では、AIに「渡した実測の数字以外の数字を書かない」と指示しています。
毎日見るべきですか、毎週でよいですか?
目的で分けます。異常に早く気づくための点検は毎日、次に何を書くかといった判断は週に1回くらいの間隔で見ると、日ごとのぶれに振り回されにくくなります。
GA4とSearch Consoleのレポートを自動にするときは、2つの道具が見ているものと、数字が出そろうまでの時間の違いを前提に組みます。確定していない数字の扱いをそろえ、2つの数字は同じ向きに動いているかで見る。件数は1か所で数え、AIのコメントには渡した数字以外を書かせない。毎日の点検と毎週の判断を分ける。当社は、Search Consoleのデータをもとにした定期的な報告や、書き直す記事の洗い出しから、資料ダウンロード・問い合わせへの導線の設計まで、続けてお引き受けしています。

